2018年12月10日月曜日

カンヌでの昼休みの過ごし方

様々な見本市や商談会が開催されるカンヌを仕事で訪れたことがある人は多いと思う。私もかつてはテレビ業界のマーケットで春と秋に訪れ、近年はラグジュアリー・トラベルの商談会で毎年12月ににカンヌに行く。

数年前に知って以来、カンヌを訪れた際は必ず行く場所がひとつある。クロワゼット沿いにあるLa Malmaison(マルメゾン)という美術館。


小さな美術館だが、結構面白い企画展をやっていることが多く、昼休みの1時間を使って行くようにしている。今年は「De Brauner à Giacometti et de Léger à Matta(ブローネルからジャコメッティ、そしてレジェからマッタ)」という近代アートの展示だった。

Anne Gruner Schlumbergerというコレクターの約1000点の所蔵作品から厳選した56点を展示。特に彼女が個人的に親交があったヴィクトル・ブローネルとマックス・エルンストにスペースを割いている。展覧会のタイトルにあるアルベルト・ジャコメッティ(トレードマークの彫刻ではなく、デッサン2点)、フェルナン・レジェ、ロベルト・マッタのほか、パウル・クレーやデュビュッフェなどもあり、シュルレアリスムやその周辺の時代のアーティストたちの作品を集めている。ブローネルなど、これまで見る機会がなく、Wikipediaの日本語ページがないようなアーティストの作品を発見できるいい機会でもある。

規模としては30-40分もあれば見られ、商談会の会場のパレ・デ・フェスティバルからの往復を含めても1時間で収められる。鑑賞後はそれなりの充実感もあり、昼休みの有効な使い方だと思っている。

しかしこの美術館、いつ行ってもガラガラなのだ。今年は例年になく宣伝に積極的で、クロワゼットの並木に沿ってバナーが出されていたにも関わらず、訪問時は他に誰もいなかった。

カンヌを何度も訪れていても、市内で買い物以外の観光をしたことがない人は結構多い。コートダジュールの太陽と青い海というリゾート地としてのステータスそのものがカンヌの売りなので、いわゆる観光スポットが少ないことも事実ではある。そんな場所に仕事で行ったら、昼休みくらい、テラスレストランで白ワインを飲み、まぶしい日差しの下、わざわざこのために持ってきたサングラスをかけ、新鮮なシーフードのランチでも楽しみたいと大抵の人が思って不思議はない。

とはいえ、マルメゾンがここまで見過ごされるのはちょっともったいない気がしている。カンヌに3、4日も滞在するのなら、昼休みのうち1回を使って立ち寄ってみても損は無いと思う。(マルメゾンは13時から14時はクローズするのでご注意を)。
夜は素敵なライトアップ!