2018年12月15日土曜日

シャンパーニュのメゾン巡り ③Henri Giraud

シャンパーニュで最後に訪れたのは、アイ(Aÿ)村のHenri Giraud(アンリ・ジロー)。


アイ村は全ての区画がグラン・クリュに指定され、特に上質なピノ・ノワールの産地として知られる。17世紀初めから400年近い歴史を持つアンリ・ジローは、アイ村に8ヘクタールの畑を持ち、その誉れ高いピノ・ノワールと、シャルドネのみを使ってシャンパンを製造している。

セラーのツアーは事前に予約が必要。私はホテルのコンシェルジュに勧められ、予約してもらった。行きのタクシーのドライバーさんに「アンリ・ジローに行く日本人は多いな。どうして?」と聞かれ、「さあ、日本では結構知られた名前だからじゃない?」と適当な返事をしたが、実際、日本市場には力を入れているそうで、ほぼ全てのラインが輸出されている。しかし(これは後で認識したのだが)、熱狂的なファンに支持されており、日本では売り切れて入手困難な品も多い。なるほど。

アンリ・ジローはステンレスタンクを廃止し、現在は砂岩とテラコッタのタンクと、オーク樽のみを使用している。

セラ―には卵型のイタリアの砂岩のタンクが並ぶ。この形を考案したのはフランスではアンリ・ジローが最初だったそうで、今では他のメゾンも採用している。ちょっとユーモラスで愛嬌がある形が、シャンパンを上手く循環させ、いい熟成を生むそうだ。


樽は、フランス北東部のアルゴンヌ森の樹齢200年前後のオークのみを使用。


アンリ・ジローのオーク樽は、比較的短い期間で交換されるため、要らなくなった樽材のリサイクルも積極的に行われている。例えば必要としているアーティストに寄付したり、右の写真のような椅子や小物を作ったりしている。

セラーの見学の後はテイスティング。Esprit Natureと、アルゴンヌのオーク樽で長期熟成させたタイプのFût de Chêne MV 13を頂いた。出たばかりの2013年ものは日本未上陸とのことだった。


遊び心のあるテイスティングルームの奥には、Esprit Natureのラベルを思わせる木の形のオブジェが。フランス人の女性アーティストが新聞紙を編んで作ったもので、Esprit Natureの箱のデザインにも使われている。ちなみにアンリ・ジローは、板茂氏とも「Argonne」の専用ボックスでコラボレーションしている。


セラー訪問は、製造行程の見学やテイスティング以上に、各メゾンのちょっとしたこだわりや姿勢に触れるいい機会だと思う。そして、それを知って共感したシャンパンは、更に美味しく感じる!