2019年12月14日土曜日

「オラファー・エリアソン: In Rael Life」展

ロンドンのテイト・モダンで開催中の「Olafur Eliasson: In Real Life」展を見た。

エリアソンと言えば光と色を使ったインスタレーション作品の印象が強い。2003年にここテイト・モダンで彼が手掛けた「Weather Project」では、人工のオレンジ色の太陽と霧を出現させ、大きな話題となった。今回は1990年から約30年間の40作品を展示した回顧展のスタイルを取っている。


最初の「Model Room」では、、彼のこれまでの作品で使用された様々な型のモデルが並ぶ。時節柄、クリスマスオーナメントを思わせる。


初期の作品の中で人気なのは1993年の「Beauty」。暗闇の中に霧のカーテンが浮かび上がる。


体験型作品の極みは「Your Blind Passage」。色がついた霧が立ち込める通路をひたすら進む。1m先にいる人の影さえはっきりしない濃い霧の中で、自分もが霧の中に消えて行きそうな気になる。結構シュールな感覚。


また、彼が90年代から作り続けているカレイドスコープのシリーズには、理屈抜きで見入ってしまう。


今回の展示で、エリアソンの環境問題への取り組みを改めて知ったのは、彼が子供時代から訪れているアイスランドの氷河の消失を示す写真作品を見たとき。


対になった写真が並び、それぞれ左が20年前、右が現在で、同じ位置から撮影している。明らかに氷河が消えていっているのが分かる。子供のころから当たり前のように接し、永遠にあるものだと思っていたものが、そうではなかったことに、エリアソンはショックを感じたそうだ。

視覚的にはいわゆる「エリアソンらしい」作品ではないが、私はこの作品が最も印象に残った。そして光も、霧も、水も、常に同じはないことを、彼の作品に意識するようになった。