2011年10月22日土曜日

クロアチアのワイナリー

クロアチアは実は美味しいワインの生産国です。

クロアチア南部のドゥブロヴニクから車で1時間半のペリエシャツ半島。
480年続くファミリーワイナリーを経営するマリオさんの案内で、地元のワイナリーを巡りました。

ディンガチ(Dingac)、トレステニック(Trestenik)、ポストゥップ(Postup)などの地域のブドウ園では、ブラヴァツ・マーリ(赤)、ルカタツ(白)など代表的な地元品種が栽培されています。

真っ青なアドリア海を臨む美しいロケーションとは裏腹に、ここでのブドウ栽培はハード。岩がちな土壌と、作業にロープを要する急斜面。日当たりが抜群にいい反面、乾燥で収穫が激減する年も珍しくありません。

自然環境の厳しさに加え、、旧ユーゴスラビア時代は、ブドウ農家は勝手にワインを製造してはならず、国営ワイナリーにブドウを卸すことしかできなかったとのこと。国営ワイナリーの作るワインといえば赤か白かの区別しかないような代物。クロアチアのワイン文化の空白時期です。

更に害虫の被害なども重なって多くのブドウ農家が土地を離れ、民主化後もほとんどが戻らず、ワイナリーの数は激減したそうです。

そんな歴史を経て、現在では地域協同組合のワイナリーと、この10年程の間に独自のワイン作りを再生させた民間のワイナリーが存在します。

組合のワイナリーは、巨大ステンレスタンクが並び、化学薬品工場のような雰囲気。
いわば大量生産、大量消費向けのワイン。

民間ワイナリーは、それぞれが違う製法、違うポリシーでやっています。

最も有名なのは、ペリエシャツ半島出身でナパで大成功し、カリフォルニアワインの地位を世界的に飛躍させたマイク・グルジッチ氏。彼が故郷に設けたワイナリーでは、自社でブドウは栽培せず、向かいのコルチュラ島からブドウを仕入れてワインを作っています。

それから案内してくれたマリオさんのワイナリー。車の中でも畑でも、ワイン造りやクロアチアのワインの歴史について熱い弾丸トークで説明してくれたマリオさん。ワインに対する情熱がありありとわかります。

その彼が選んだ手法は、オーガニック。
彼のワイナリーは、この地域で初のオーガニック認証を取ったのです。

オーガニックのワイン造りはたやすくありません。土地改良にも手間とコストがかかります。自分の土地に化学肥料を使わないのは勿論ですが、隣接するよその畑が化学肥料を使っていたら、緩衝地帯を設けなくてはなりません。

また、マリオさんのワインには酸化防止剤の亜硫酸塩も無添加。するとワインの劣化も早いので、遠くの国への輸出は難しく、ずっと寝かせてヴィンテージものにするにも向かないため、商業的には必ずしもメリットばかりではありません。

でもマリオさんは、自分の息子や孫の世代になったとき、本当に体にいいワイン造りができる環境を整えたいという信念で、オーガニックを選んだそうです。商品も大量生産に走るより、手がかけられる範囲で納得がいくものを作り、売っていきたいという考え方。自分のためにも、未来のためにも。

ワインの話をしながらも、生き方について共感できる部分が多々あったワイナリー訪問。
オーガニックは手法にとどまらない、ライフスタイルなのだと実感。

ちなみに彼のワイナリーの食堂で出された豆のスープは、今回のクロアチア滞在で最もおいしいハーティな料理でした。

*マリオさんのワイナリーツアー:
非常に良質な体験だったので、弊社もコラボレーションさせて頂くことにしました。
ツアー実施が可能な時期・日程は限られています。詳しくはお問い合わせください!

クロアチアへの旅はこちらへ http://www.cognoscenti.jp/bespokejp.html