2016年11月26日土曜日

富山市ガラス美術館

北陸新幹線で金沢の一つ手前、富山。
ここで降りる観光客は金沢よりずっと少ないが、富山にはとても見たい建物があった。

富山市ガラス美術館。


2015年8月にオープンしたこの美術館の建物は、隈研吾氏の設計。日の光を反射し、ひときわ目立つ外観は、富山の名産であるガラスと石とアルミを使っているそう。

建物の中は、これも富山名産の杉の板をメインに使い、外光がたっぷり差し込む空間を贅沢に使った大きな吹き抜けの周りに、2階から6階までの展示スペースと、図書館やカフェなどが配置されている。

各階でずらして設置されたエスカレーターを上る度に、違う角度からの眺めが目に入ってくるのも楽しい。こんなところにある図書館だったら、地元に住んでいたら通いたくなる。

ガラス美術館の展示は企画展と常設展があり、訪問時の企画展はチェコのデュオ、スタニスラフ・リベンスキーとヤロスラヴァ・ブリフトヴァの個展だった。

6階の「グラス・アート・ガーデン」は、現代ガラスアートの第一人者とされるアメリカ人アーティスト、デイル・チフーリの作品が5つ常設展示されている。この美術館のためにチフーリ氏が来日して制作した作品も含まれる。

このほか、富山市が収集してきた海外や富山ゆかりのガラスアーティストたちの作品も展示されている。

調べてみると「薬売り」で知られる富山のガラス産業は、もともと明治・大正期に薬瓶の製造から始まったとのこと。その後1980年代から地場産業としてのガラス芸術の振興に力を入れるようになり、いまでは「ガラスの街とやま」のブランドをアピールしている。この富山市ガラス美術館では、そうした地道な「産業育成の歴史」みたいなものを省いて、さらっと現代の美しいガラスだけを展示しているのが、逆に潔くていいい。