藤田嗣治生誕140周年を記念した特別参観が迎賓館赤坂離宮で開催されている。通常公開されていない「貴婦人と召使い」と「ポプラ並木の女性と楽士」の2点も含め、迎賓館が所有する全6点の藤田作品が見られる。
6点は全て1935年に洋菓子店「銀座コロンバン」の天井画として、藤田のパリ時代の友人だった同店の創業者の依頼で制作された。18世紀ロココ様式の画家、アントワーヌ・ヴァトーへのオマージュとされ、思いっきりフランスっぽい。
パリ画壇で大成功をおさめた藤田は、その後渡った南米でも個展が賞賛され、1933年に日本に帰国。当時は壁画がブームで、芸術を人々に身近なところに置きたいという藤田の思いもあり、これらの作品を手掛けたらしい。
藤田の天井画は戦時中は疎開・保管されていたため幸運にも焼失を逃れ、のちにコロンバンから迎賓館に寄贈された。
思いっきりフランスっぽいのは建物もしかり。迎賓館赤坂離宮本館は1909年に東宮御所として建てられた国内唯一のネオ・バロック様式の宮殿建築で、国宝に指定されている。「壮麗」という言葉がこれほどぴったりな建物を日本で他に思いつかない。
折角なので「和風別館」も見学した。外国の賓客を和の空間でもてなすための施設として、谷口吉郎の設計で1974年に建てられた。こちらは予約が必要で約1時間のツアーに参加する。広間と茶室は、金沢の「谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館」にも再現されている。
迎賓館赤坂離宮本館が建てられた20世紀初めは、西洋に追いつくことが先進国の証明とされたような時代。もしも今、一から迎賓館を作るとしたら、本館と別館のどちらが和風になるだろうかなどと考える。でも欧米での成功を身にまとっていた藤田の絵は、今の本館にしっくり収まっていることは間違いない。
(今回の特別参観は2026年9月15日まで)




