2025年6月8日日曜日

「Visionary Journeys」展 in Bangkok

「LV The Place Bangkok」は、バンコク中心街にあるルイ・ヴィトンの新形態店舗。ブティック、カフェ、レストラン、エキシビションの4つのコーナーで構成され、買い物以上にブランド体験を重視した場所といえる。ちなみにレストランは、かつてAsia’s Top 50 で連続1位を獲得してその後閉店してしまったあの「Gagan」が新たに出店し話題になっている。


2024年のオープン時から続いている「Visionary Journeys」展は、ルイ・ヴィトンのヘリテージと各時代のストーリー、そして今への変遷を見せる展示。LVのブランド展示は過去にも見たことがあり、それぞれ面白かったが、今回は進化したビジュアルのインパクトが強かった。

ドアが開くと「ザ・トランクスペース」と名付けられた最初の空間が現れる。LVの原点ともいえる96個の「クーリエトランク」と鏡面がジオメトリックなトンネルを作り、来場者を奥へといざなう。もう、すでに持っていかれている感じ。


次の部屋は「オリジン」。LVの創業初期、馬車が移動手段だった19世紀から、自動車が登場した20世紀初頭にかけて、LVが作った様々な旅の道具が展示されている。その多くは広い意味で「鞄」なのだが、当時の人たちの旅は、旅行というより引っ越しに近かったんじゃないかと思う。従者を連れての贅沢な旅をする人達に限られたことだったにせよ、ワードローブごと、事務机ごと持っていくという発想で、LVはそれを可能な限りポータブルにして提供した。でも現代人がラップトップを持っていくように、当時の人はタイプライターを持っていったのだと思えば、それほど変わっていないのかもしれない。


次の「アイコン」の部屋には、リバイバルされた各時代の代表的なバッグが展示され、「コラボレーション」の部屋に続く。ブランドとアーティストのコラボレーション製品の数々が、移り変わるイマーシヴな映像とともにディスプレイされる。永遠に続く床と天井をのぞき込んだり見上げたり。LVとアートの関係は長く、100年ほど前にはアーティストたちに作品制作をコミッションしていたそうだ。この楽しい空間にも、アートに対するLVのコミットメントが詰まっている。




最後の部屋にあるカラフルな機械からポストカードをもらって帰る。展示だけでも印象深かったけど、それを思い出させるお土産をすかさず渡すところが憎い。

この「Visionary Journey」展は、2025年7月から大阪中之島美術館に巡回(もしくはポップアップ?)する。行ったばかりなのに、また行ってみたいと思っている。