「Brass Lion Distilllery」は、約5年前に開業したシンガポールで最初のジン蒸留所。1時間の見学ツアーに参加した。
シンガポールと言えばタイガービールをはじめとするご当地ビールが豊富だが、国産のスピリッツがなかった。そこで「作ろう!」と発起した若い起業家の女性オーナーが、海外のジン蒸留家に弟子入りしてジン造りを自ら学び、技術を持ち帰った。
ここでのジン造りは、蒸留、瓶詰、ラベル張りまで、そう広くはない一室で完結する。ツアーが行われるのは製造がお休みの週末。フラッグシップ商品の「シンガポール・ドライ・ジン」には22種の原料が使われている。標準的に使われるジュニパーベリーなどの他、アジアらしさ、シンガポールらしさを打ち出すためレモングラスやジンジャーフラワーも加えたオリジナルの配合。見学者もいくつかの材料の香りを嗅いでみる。へえ、透明なジンもこんなに複雑な香りから生まれるのね、と認識を新たにする。中国の薬草酒か何かの原料を見ているようでもあり、ボトルからは全く想像がつかない。
小さな蒸留所ならではのエピソードを聞けるのこのツアーの面白さ。なにしろシンガポールで初めてのケースなので、蒸留所の申請をしたのに醸造所の許可証が出てきたり、お役所も迷走したらしい。
わずか1時間のツアーで、普段はジンを飲まない私もジンとの距離が少し縮まり、世界が拡がった。もっとジンを極めたい人には、自分のオリジナルジンを蒸留する半日クラスも開催されている。
Brass Lion Distilleryも言っているように、"Don't just drink it. Experience it!"