2023年9月14日木曜日

デイヴィッド・ホックニー展

東京都現代美術館で開催中の「デイヴィッド・ホックニー展」を見た。ホックニーの60年以上の画業を追った大回顧展だが、過去の振り返りよりむしろ、86歳にして進化し続けるホックニーの今に目を見張る。

ホックニーは都会の風景や肖像画のイメージが強い人かもしれないが、近年は色鮮やかな花や自然の風景を描いていて、そうした多くの作品が今回、日本で初公開されている。特に2010年以降手掛けてきたiPadドローイングが素晴らしい! 新しい手法に挑戦し、それを軽やかに自分のものにして世界を拡げているのがホックニーのすごいところ。


圧巻は長さ90mの大絵巻「ノルマンディーの12か月」。2019年以降、フランスのノルマンディーに居を構えたホックニーは、コロナ禍の2020年に220枚のiPadドローイングを作成し、それをつなぎ合わせてこの大作を完成させた。「お家時間」の使い方としてこれ以上のものってあるだろうか…。


ノルマンディーは多くのアーティストにインスピレーションを与えた土地で、モネなどの印象派の画家たちもその光と風景の瞬間を閉じ込めた作品を描いた。ホックニーは1年間に及ぶ定点観測と制作を経て、ノルマンディーの四季が美しく移ろう様を、物語のようにひとつの作品に仕上げている。端から端までたどるとノルマンディーに行きたくなる、そんな旅心を誘う絵巻。


出る頃にはすっかりホックニーファンになってしまった。