2011年12月31日土曜日

「ZED」ファイナル!

大みそか。シルク・ドゥ・ソレイユ「ZED」の最終日。
最後の一般公演の後、関係者を対象に”Family Farewell Party”と銘打って行われた本当にラストの公演を見ました。
ZEDを見るのは二度目でしたが、初回と同じじくらいの驚きと感動を覚えました。
人間の身体能力の極限。
妥協のない、研ぎ澄まされた演技が織りなす美。

驚きは特撮やCGでも与えられても、感動を与えられるのは人間の成せる業なのだと実感。

一年の締めくくりに最高のスペクタクルでした。

2011年12月14日水曜日

カンヌで思い出したこと

先週、南仏のカンヌを訪れました。
常に暖かいイメージのあるコートダジュールも、12月ともなると、遠くに見える山は雪をかぶり、朝晩は冷え込みます。
でもやはり太陽はパワフルで、朝日と海を見ながら朝ヨガをしたらエネルギーが湧いてきました。

以前はよく仕事で行っており、今回は10年ぶりの訪問でしたが、街並みはほとんど変わっていません。
Carlton、Majestic、Martinezなどクロワゼット通りに並ぶ5つ星ホテル群は、微妙に系列の名前が変わっていたとしても、威厳ある優雅な佇まいを保っています。

でもカンヌは表通りから外れると人々の生活感があって、海沿いにUFOキャッチャーや射的の屋台が並ぶ様もちょっと俗っぽく、すぐ近くのモナコと比較しても肩の力が抜けた感じがいいのです。

そういえば、やはりクロワゼット通り沿いに、かつてノガ・ヒルトンという妙な名前のヒルトンがありました。

Noga Hiltonって、どう考えてもフランス語じゃないし、だれが発音してもフランス語っぽくならないし、建物も他のホテルのような優雅なヨーロピアン調の建築ではなく、まあ、直線的という以外の表現を思いつかないし・・・

ということで、ノガ・ストリートという通りに面したそのホテルに、私はカンヌのホテルとしては違和感を感じていたのです。通りが別の名前だったら、せめてもう少し素敵な響きの名前になっていたかもね、と思いつつ。

今回行ってみると、そこはJW Marriottに変わっていました。建物はそのままに。
そしてノガ・ストリートだった通りの名前も、まったく違う名前になってる・・・

ってことは、ノガ・ヒルトンがあったから、ノガ・ストリートだったの?

ノガって何だったんだろ?


2011年12月5日月曜日

2011年シャンゼリゼのクリスマス

パリのシャンゼリゼ通りの今年のクリスマスイルミネーション。

並木が3連フラフープしてるようなデザイン。色が変わります。
凱旋門から、通りの反対の端に設置された観覧車までずっと続いています。

個人的には、近年の東京の派手なイルミネーションに慣れてしまったせいか、ちょっと地味?という印象。

実は、かつて信じられないほど輝かしく見えた表参道のイルミネーションが最近復活したときも、「あれ?こんなもんだっけ?」と思ってしまったのです。

ベーシックな美しさに鈍感にならないようにしなくては!

2011年10月24日月曜日

クロアチアのナチュラルコスメ

ドゥブロヴニクの旧市街にあるフランシスコ会修道院。そこに併設されたマラ・ブラーチャ薬局では、オリジナルのナチュラルスキンケア製品を売っています。

いかにも薬局という感じの茶色いボトルに入った化粧水には、商品名のラベルがペタッと張られたのみで、成分表示は一切なし。ただわかっているのは「オールナチュラル」ということのみ。

ローズ、ローズマリー、ラヴェンダーなどいくつかある種類の中から、一番保湿効果が高いものを聞いて、ローズウォーターとローズクリームを購入。

私が支払いを終えたその時、後ろから関西系とおぼしきおじ様、おば様がたのグループがどどどと入ってきて、先頭にいたおじ様が、カウンターにたどり着く前に
「ローズウォーター!カード使える?」(日本語です)
と指名買い。

クロアチアの一都市の一薬局の製品が、日本でそこまで有名だったとは。
おまけに、なんて幅広い客層。

情報社会、恐るべし。


*クロアチアへの旅はこちらへ http://www.cognoscenti.jp/bespokejp.html

2011年10月22日土曜日

クロアチアのワイナリー

クロアチアは実は美味しいワインの生産国です。

クロアチア南部のドゥブロヴニクから車で1時間半のペリエシャツ半島。
480年続くファミリーワイナリーを経営するマリオさんの案内で、地元のワイナリーを巡りました。

ディンガチ(Dingac)、トレステニック(Trestenik)、ポストゥップ(Postup)などの地域のブドウ園では、ブラヴァツ・マーリ(赤)、ルカタツ(白)など代表的な地元品種が栽培されています。

真っ青なアドリア海を臨む美しいロケーションとは裏腹に、ここでのブドウ栽培はハード。岩がちな土壌と、作業にロープを要する急斜面。日当たりが抜群にいい反面、乾燥で収穫が激減する年も珍しくありません。

自然環境の厳しさに加え、、旧ユーゴスラビア時代は、ブドウ農家は勝手にワインを製造してはならず、国営ワイナリーにブドウを卸すことしかできなかったとのこと。国営ワイナリーの作るワインといえば赤か白かの区別しかないような代物。クロアチアのワイン文化の空白時期です。

更に害虫の被害なども重なって多くのブドウ農家が土地を離れ、民主化後もほとんどが戻らず、ワイナリーの数は激減したそうです。

そんな歴史を経て、現在では地域協同組合のワイナリーと、この10年程の間に独自のワイン作りを再生させた民間のワイナリーが存在します。

組合のワイナリーは、巨大ステンレスタンクが並び、化学薬品工場のような雰囲気。
いわば大量生産、大量消費向けのワイン。

民間ワイナリーは、それぞれが違う製法、違うポリシーでやっています。

最も有名なのは、ペリエシャツ半島出身でナパで大成功し、カリフォルニアワインの地位を世界的に飛躍させたマイク・グルジッチ氏。彼が故郷に設けたワイナリーでは、自社でブドウは栽培せず、向かいのコルチュラ島からブドウを仕入れてワインを作っています。

それから案内してくれたマリオさんのワイナリー。車の中でも畑でも、ワイン造りやクロアチアのワインの歴史について熱い弾丸トークで説明してくれたマリオさん。ワインに対する情熱がありありとわかります。

その彼が選んだ手法は、オーガニック。
彼のワイナリーは、この地域で初のオーガニック認証を取ったのです。

オーガニックのワイン造りはたやすくありません。土地改良にも手間とコストがかかります。自分の土地に化学肥料を使わないのは勿論ですが、隣接するよその畑が化学肥料を使っていたら、緩衝地帯を設けなくてはなりません。

また、マリオさんのワインには酸化防止剤の亜硫酸塩も無添加。するとワインの劣化も早いので、遠くの国への輸出は難しく、ずっと寝かせてヴィンテージものにするにも向かないため、商業的には必ずしもメリットばかりではありません。

でもマリオさんは、自分の息子や孫の世代になったとき、本当に体にいいワイン造りができる環境を整えたいという信念で、オーガニックを選んだそうです。商品も大量生産に走るより、手がかけられる範囲で納得がいくものを作り、売っていきたいという考え方。自分のためにも、未来のためにも。

ワインの話をしながらも、生き方について共感できる部分が多々あったワイナリー訪問。
オーガニックは手法にとどまらない、ライフスタイルなのだと実感。

ちなみに彼のワイナリーの食堂で出された豆のスープは、今回のクロアチア滞在で最もおいしいハーティな料理でした。

*マリオさんのワイナリーツアー:
非常に良質な体験だったので、弊社もコラボレーションさせて頂くことにしました。
ツアー実施が可能な時期・日程は限られています。詳しくはお問い合わせください!

クロアチアへの旅はこちらへ http://www.cognoscenti.jp/bespokejp.html

2011年10月15日土曜日

Museo del Novecento


ミラノのドゥオモ広場にあるMuseo del Novecento。

その名の通り、1900年代(=20世紀)のイタリアのアートを展示する美術館です。

日本であまり見る機会がない作品を見るのも貴重ですが、何より素晴らしいと思えるのは、最上階フロアからのドゥオモの眺め。

ドゥオモのためにあるような空間。

ドゥオモのディテールをすぐ間近で観賞できるベストスポットです。



2011年10月13日木曜日

モナコの夜

モンテカルロ。
昼間は団体バスも多いですが、夜のマジカルな美しさには圧倒されます。

ガルニエのグランカジノを中心とする広場は、おとぎ話の宮殿のよう。
フランスともイタリアとも違う魅力がある街です。

2011年10月11日火曜日

オーガニックな休日② Feeling so clean!

先日滞在したThe Chateau Spa & Organic Wellness Resort。
わずか2泊3日の滞在で、明らかに体がクリーンになった感じがしています。

滞在の中心となるスパプログラムは2泊3日から、目的に応じていくつかのメニューがあります。もちろん使うスキンケア製品はすべてオーガニック。ヨガやフィットネスのクラスも入ります。

アメリカのテレビトーク番組の女性司会者の方(50代後半)と、何度か食事やヨガをご一緒したのですが、その方はアンチエイジングのフェイシャルトリートメントを受け、最初に顔半分だけやってもらったところで鏡を見て、驚愕したそうです。
「ほんとに効くのよ!左右で全然違うの。」

最先端のマシンを導入したトリートメントもあります。例えば、ダイエットでたるんでしまった皮膚を引き締めるLPGという施術。これを受けた人も、1回で目に見える違いが出たそうです。細胞に働きかけ、活性化されたその力で改善するもので、外科手術や異物の注入は一切なし。美容外科業界にとっては脅威かもしれません。

私はすぐ効く系のトリートメントは特に受けなかったのですが、気付いたら肌の調子がいい。何が良かったのか考えてみて、スパの効果もさることながら、プログラムの様々な要素との相乗効果ではないかと思っています。

①まず、悪いものは一切採らない食生活。リゾート内の菜園で採れたばかりの新鮮な野菜や焼き立てのパンなど、オーガニック食材を使ったものだけを頂きました。バターやはちみつ、オリーブオイル、ワインなどもすべてです。

②次に規則正しい生活。スパ・プログラムでは3食の時間が決まっていて、朝食前にはモーニングヨガのクラスもあります。

③それから適度な有酸素運動。エアロビやマシンのエクササイズなど、全身に汗をかく程度の運動を毎日していました。

こう書くと、至極当たり前なことばかりですが、これを日常生活ですべて実現するのは、結構難しい。邪念や妥協が絶対入りますから。

また今回の滞在で色々な方の話をうかがい、「クリーンに食べる」ことの重要性を改めて実感しました。

日常生活でも、旅でも、オーガニックに少しこだわってみようと思います。

*The Chateau への旅はこちらへ http://www.cognoscenti.jp/bespokejp.html
 こちらも参考に http://www.tabism.jp/mania/hitoritabi/cj.html



2011年10月7日金曜日

オーガニックな休日

マレーシアのThe Chateau Spa & Organic Wellness Resortに来ています。
11月にグランドオープン予定の「世界初のオーガニック・ウェルネス・スパ・リゾート」です。

徹底したオーガニックのポリシーと世界の最先端のスパテクノロジー、そして最高レベルのサービスを提供する究極のラグジュアリー・デスティネーションスパ。

ザ・シャトー(城)という名の通り、フランス・アルザス地方に実在する城を再現した建物は、マレーシアのマハティール前首相のアイディアだそう。クアラルンプール国際空港から車で90分。高度約1000mに位置しているので涼しく快適です。

特徴を挙げると:

1.可能な限り全てがオーガニック。
正確には82%がオーガニック。アメニティ、リネン、食べ物、ワイン、お茶など全てがオーガニック。あとの18%は、どうしてもオーガニックでは調達できないけれど必要なものや、ゲストに希望に応えるために用意するもの(例:フォアグラ)です。

2.大人オンリー
12歳未満は宿泊できません。大人がスパの滞在でリラックスするための場所だからです。大人と子供のテリトリーを分けることは時に必要なので、このポリシー、非常に評価します。

3.効くスパ
コンサルテーション、様々なトリートメントプログラム、ヨガクラスなどを含むプログラムが、2泊3日から用意されています。オーガニックのスキンケア製品と、世界最先端の技術を集結。実際、すぐに目に見える効果が出たという人も。(この話はまた後日。)

4.一流のサービス
厳選したスタッフは世界20カ国から集められ、トレーニングに1年間かけたそう。その目配りの利き方たるや、日本もうかうかしてられません。

5.美食
いくらオーガニックだと言われても、おいしくなかったら体にいいわけありません。でもここの食事は味、プレゼンテーション、創意工夫、全てにおいてレベルが高く、一皿一皿に刺激を受けます。リゾート内のオーガニック菜園で栽培された野菜や果物も新鮮!

続きは次回。


*The Chateau への旅はこちらへ http://www.cognoscenti.jp/bespokejp.html
 こちらも参考に http://www.tabism.jp/mania/hitoritabi/cj.html




2011年9月28日水曜日

ブドウ収穫

今年もワイン造りの季節です!
(正確には、ブドウ栽培はもっと前から始まってるわけですが。)

先週末、長野県のワイナリーでブドウ収穫を手伝わせていただきました。
去年に続いて2度目ですが、同じ畑の同じ品種のブドウでも、手のかけ方によって出来が随分違います。去年不作だった分、今年はかなり手をかけたという醸造家の方の話にたがわず、今年のソーヴィニヨン・ブランは丸々として、ぎっしり詰まった重みのある実でした。土壌に1年かけて有機肥料が浸透してきたことも影響しているようです。

ブドウも生き物。作った人の心を映しながら成長するものだと思います。
ワインがシンプルであればあるほど、作り手の「人となり」が味にも反映されるでしょう。

せっかく立派に育った実を傷つけたりしないよう、作業も慎重になりました。

そして、去年収穫を手伝ったソーヴィニヨン・ブランの2010年のワインを買って帰りました。
ほんの少しでもこのワイン造りに関与できたという思いで愛着もひとしお。
もったいなくてなかなか飲めないかも。

2011年9月16日金曜日

摂氏35度の京都にて

初秋の京を期待していたのに、フタを開けたら晩夏はおろか、猛暑だった今週の京都。
水曜日の最高気温は35.2度。「全国で3番目の暑さでした。」
ああ、東京にいたほうが涼しかったかも・・・

でも、京都は行くたびに新発見や、「見てよかった!」と思うものに出会える土地です。
今回見た中で良かったもの:

1. 下鴨神社の本殿 特別公開(2011年9月30日まで)

あ、今までは本殿見てなかったのね、と気付かされた特別公開。
ガラス越しですが、ともに国宝の東殿、西殿の二つの本殿を見られる貴重な機会です。
美しい桧皮葺の建物に、狛犬の鮮やかな青がちょっと意外で、印象的。


2. 京都文化博物館 「帰ってきた江戸絵画」展(2011年10月16日まで)

世界には、よく個人でこんなにすごいもの集めましたねと感心するアートコレクターが存在しますが、ニューオーリーンズのギッター氏も間違いなくその一人。今回の展示は若冲から始まり琳派、池大雅、与謝蕪村などなど、禅画、水墨画から浮世絵まで江戸時代を代表する絵画100点以上。
1ドル360円の時代だったとしても、すごい。

この展示は昨年から国内を巡回してきましたが、今回の会場の京都文化博物館は7月9日にリニューアルオープンしたばかり。コンテンポラリー美術館のような建物、150インチの大画面絵巻など、現代的な趣向で京の歴史を紹介するスポットで、これも一見の価値あり。


他にもいろいろ、炎天下でも満足度は高かった京都。
でも次はもう少し涼しくなってから行こう。

2011年8月27日土曜日

ART TAIPEI 2011

開催中のART TAIPEIを見に、台北に来ました。

会場は老若男女、地元の幅広い客層で賑わっています。
特に、ほぼ全てがコンテンポラリーアートの展示であるにも関わらず、「老」の比率がかなり高いと思います。

入場者のうち10代から20代の若い層の傾向は、みな作品の写真を熱心に撮っていること。
それも携帯でついでにって感じじゃなく、一眼レフ持参で真剣に撮りに来てる人が多いのです。
北京でも同じような光景を見ましたが、写真の練習?
アート作品の写真は、アート作品と言えるんだろうか?と、「レディ・メイド」を思いながら自問。でも写真撮影におおらかなのは、いいことです。

これは全く個人の印象論ですが、台湾アートは、中国本土よりもちょっと肩の力が抜けているような、東京よりもバイオレンスさが少ないような。楽しく廻ったアートフェアでした。

2011年7月27日水曜日

Honuと泳ぐ海

ハワイ島の海でHonu(ウミガメ)に出会うのは日常茶飯事ですが、それでもやはり、甲羅干しをしているカメを見れば、思わず足を止めてしまいます。
潮が低くなる時間帯に、波にまかせて打ち寄せられるように岩場に上がってくる姿をよく見かけます。照りつける太陽の下、存分に甲羅を乾かすカメを見ていると、「甲羅干し」って、カメのための言葉だったんだと再認識(当たり前ですが)。

泳いでいると、気づくとカメが隣に。
そんな時は距離を保ちながら、カメのゆっくりした動きに合わせて、しばし一緒に泳ぎます。
ちょっと無心になれる瞬間。

2011年6月24日金曜日

イスラム美術博物館

クアラルンプールのイスラム美術博物館。静かで、美しいミュージアムです。

中庭やロビーにもイスラムの美が凝縮されており、宗教を越え、繊細で卓越した様式美に心を奪われます。

訪問者が最初に足を踏み入れる建築ギャラリーでは、模型でありながら荘厳な存在感を持つイスラム建築のミニチュアにしばし釘付け。テキスタイルギャラリーは、モード美術館のようでした。

外の暑さと雑踏から隔絶された空間。クアラルンプールに行く度に訪れたいです。

(マレーシア観光局のウェブサイトには「月曜休館」とありましたが、2011年6月現在、月曜日もオープンしてました。博物館のオフィシャルサイトで確認してから出かけることをお勧めします。http://www.iamm.org.my/i_ex/

2011年6月17日金曜日

笑う門には

今週、上海のHyatt on the Bundでのパーティに出席しました。
アトリウムをロビーから螺旋階段で下りていくゲストを迎えるのは、バーカウンターの後ろの壁一面に描かれたマルチプル笑顔。
岳敏君(ユエ・ミンジュン)のアートのレプリカです。

つられて笑わずにはいられない迫力。
パーティを明るくするパワーアートですね。

2011年5月8日日曜日

798

すでにメジャー観光地となった北京の798アート地区。
中国や海外の一流ギャラリーが軒を連ね、欧米からの観光客も目立ちます。
アートによる再開発、アートの観光資源化という点でも成功していると言えるでしょう。

かつて工場だったレンガ造りの建物群は、当時の煙突やレトロな雰囲気を残したまま、アートギャラリー、ブティック、カフェに転身。ギャラリー兼ブティックのような形態の店も多く、洋服や小物は、むしろ北京中心地よりお洒落な感じです。

各ギャラリーは、天井が高くスペースが広い体育館のような建物の特徴を生かし、上手に作品を展示しています。壁のところどころに「中国共産党万歳」など工場時代のスローガンがそのまま残っているのも面白いし。

ギャラリーよりも美術館と呼んだほうがしっくりくるような、レベルの高い企画展も多く見ました。特に印象に残ったのはPace Beijingのダイアン・フォン・ファステンバーグの"Journey of a Dress"展。ガラスのファサードを入るとカラフルなドレスの数々に迎えられ、その奥に彼女の40年のデザインの軌跡が展開されています。美しい展示でした。

ちなみに日本と勝手が違い、798の懇切丁寧な「フロアマップ」は存在しません。時間が限られているなら、お目当てのギャラリーの位置だけでも事前に確認していくのがベターです。

2011年4月28日木曜日

北京のアートフェア

4月21日から北京で開催されたCIGE 2011(China International Gallery Exposition)を見てきました。
コンテンポラリーアートが中心で、北京の大手ギャラリーの大部分が出展しています。
7月に延期されてしまったアートフェア東京の北京版みたいな感じです。

平日だったので会場内は美術学校の学生らしき層が多く、一様に作品の写真を撮りまくっていました。

会場中央の特別展示コーナーには、つい最近、中国人アーティストとしては最高額の1000万ドルで作品が落札されて話題になったジャン・シャオガン、ポリティカルポップのワン・グァンイー、スキンヘッドのマルチプル自画像のファン・リジュンなど、代表的なアーティストの作品が並んでいます。

中国政府がバックについているためか過激な作品はなく、各ギャラリーがフィーチャーする作品も、全体的に「中国っぽさ」を全面に出したものが目につきました。でもそれは見る側も期待している要素でもあり、商業的な狙いも中国アートのパワーの一つ。ツボを押さえてます。楽しく、ポジティブに鑑賞しました。

2011年3月29日火曜日

フレンチ・ウィンドウ

開幕が延期されていた森美術館の「フレンチ・ウィンドウ展」が、3月26日から始まりました。
フランスの現代アートの展示です。

震災以来、高層ビルに上るのはあまり積極的になれなかったのですが、上った甲斐は十分ありました。特に、マルセル・デュシャンの作品をモチーフにしたマチュー・メルシエの作品を見たときは、ここぞこの作品のための展示スペース!と、心の中で喝采。
ここでは説明しませんが、是非、晴れた日に行ってください。
私は午前中の光が美しいと思います。

2011年3月25日金曜日

香港アートウォーク

3月16日にHong Kong Art Walkが開催されました。
11回目を迎えた毎年恒例のチャリティーイベントで、今年は65のギャラリーが参加したそうです。

アートウォークに参加する人は、チケットを買い、胸にバッジをつけて、セントラル(中環)を中心に点在するギャラリーを17時から24時の間、思い思いに見て歩きます。

このイベントを盛り上げる要素のひとつは、各ギャラリーで振る舞われるワインやフィンガーフードです。ギャラリーによって品揃えが違い、まさに「ワイン&アート・ホッピング」が楽しめます。
面白いのことに、羽振りのよさそうなギャラリーはフードも豪華です。生ハムをその場で切り落として出すコーナーには人だかりができ、パーティさながらの盛り上がりでした。

皆リラックスしてアートを見て、飲んで、食べて、ギャラリストの説明を聞いて、と、とてもいい雰囲気のイベントです。気に入った作品があればその場で商談に入れますが、何も買わずに見るだけでももちろんウェルカム。実際、見るだけで楽しむ人が大多数のようでした。

ワイン片手にアート鑑賞する機会はまれですが、意外にも、普段より作品が印象に残っています。たくさんのギャラリーを一度に廻った後でも、イベントの雰囲気や様々なワインの味が記憶を補強して、ひとつひとつのギャラリーの特徴も思い出しやすく感じました。

ほろ酔い気分で衝動買い、ってこともありそうです。きっと売り上げも普段より多いはず。
でもアートは縁ですから、それも一興です。

2011年3月18日金曜日

秩序

地震から1週間が過ぎました。
様々な外国の反応も日本でも報道されていますが、買占めもそのひとつです。

香港や中国では、日本製の粉ミルクが爆発的に売れています。
放射能に汚染される前の在庫を買っておこうという心理です。
もともと容器も「再利用」価値があるという話も聞いたので、原発事故前の製造がわかる日付が入った容器も貴重なのかもしれません。

この話はまだ理解できるほうとして、驚いたのは、やはり香港・中国で、塩も店から姿を消したという話です。塩に入っているヨウ素が放射能の影響を防ぐのに効く、という根拠のない話に惑わされた動きらしく、塩を買えなかった人が醤油を買い求め、醤油も品切れになったそうです。

外国のメディアが、壊滅的な被害を受けた被災地の日本人の秩序ある行動を讃えています。
日本人としてはそれが当たり前で、言われるまで考えたこともなかった人も多いはずです。
暴動が起こらないのはすごいことなんだと、改めて実感すると同時に、この秩序を未来のために保っていかねばならないという責任を感じました。

日本でも被災地以外の地域で買占めが起こっています。
これが日本人の秩序や助け合いの美徳を崩していくことにならなければいいと願っています。

2011年3月10日木曜日

表参道で息抜き

1月に表参道にオープンしたばかりのエスパス・ルイ・ヴィトン。
エレベーターでルイ・ヴィトンビルの7Fに上がり、ガラス張りの明るい空間へ。

開催中のオープニング展示はグザビエ・ヴェイヤン。
モーター音だけを響かせて回っては止まる、奇妙なインスタレーションに、
見入るもよし、ただ周りを歩いて考え事にふけるもよし。

いずれにせよ、都会のちょっとした息抜き空間が一つ増えました。

2011年1月30日日曜日

春の気配

熱海の梅園では、もう春の気配です。

行ったときはまだ4分咲き程度でしたが、冬の空をバックに、ピンクや白の花が一層鮮やかに映えていました。

こんなに寒いのに、春は着実に近づいていますね。