2012年3月11日日曜日

ブータンの旅③: UMA PARO

意外かもしれませんが、ブータンではハイエンドなホテルステイも楽しみの一つです。主なところではAman, Taj, COMOの各グループが首都ティンプーや各地にホテルを展開しています。

今回宿泊したのはCOMO HotelsのUMA PARO。パロ空港から車で約10分、高度2300mに位置します。ひんやりした朝の空気の中、空港から専用車でホテルへ。ブータンの伝統的な建築様式の建物を入ると、コンテンポラリーなデザインと調和したシックなロビー空間。

まずはレストランBukhariで朝食。中央に暖炉の火が燃える円形のフロアを大きな窓面が囲み、パロ谷を一望できます。注文したエッグベネディクトには、敷地内のオーガニック菜園で取れた野菜と自家製ハーブソースが添えられ、目にも体にも嬉しい一皿。オールインクルーシブのパッケージの場合、観光で出かけているとき以外はほとんどここで食事するので、レストランの質は滞在全体を左右します。ここはサービスも味も合格。メニューはブータン料理、インド料理、西洋料理を揃え、バラエティ豊富。ただ、料理のポーションは日本人女性にはちょっと多いかもしれません。

客室は本館と、林に点在する9棟のヴィラから構成されます。今回はワンベッドルームヴィラに滞在。ベッドルーム以外に、暖炉があるリビング、広いバスルーム、さらにトリートメントルームがあり、部屋でスパ・トリートメントを受けることも可能。各ヴィラにはバトラーが付き、暖炉に火をくべてくれたり、お茶を入れてくれたり、その他あらゆるニーズに気を配ります。パチパチと薪がはじける音を聞きながらくつろげる部屋は、ブータンではここだけ。長い滞在なら確実にヴィラがお勧めです。ハリウッドセレブやヨーロッパの王族も宿泊したことがあるそう。

スパも欠かせない要素です。初めてのブータン旅行では必ずといっていいほど、Tiger's Nestという僧院へのトレッキングをします。高度3,120mの僧院までの往復は(注: スタート地点はすでに高度2,000m以上なので、高低差は1,000m程度です。)、道も整備されていて眺めもいいですが、やはりそれなりにハード。あとでスパでのマッサージが待っているといないとでは、トレッキング中のモチベーションがまったく違います!自然を堪能した後は、Como Shambaraスパの優雅な空間で完璧な締めくくり。

2012年秋には2軒目のCOMOホテルがプナカにオープンするとのこと。今年のブータンはますます注目のデスティネーションです。



2012年3月3日土曜日

ブータンの旅②: 郷に入っては…

ブータンの人は日常的にお寺にお参りします。
お寺に入る際、男性は清めの意味で民俗衣装の上から白い肩布をかけます。
靴を脱いで上がり、神様の像の前では、合わせた両手を額、口元、胸の前に順に持っていき、座って頭と両手を床につけるように礼をするという流れを3回繰り返すのが、ブータンの祈り方です。
そしてお賽銭や食べ物を捧げて帰ります。

首都ティンプーのタシチョゾンを訪問した際は、ちょうどブータンの新年の祝日で、仏の聖遺物とされるものの特別展示がありました。
皆、色とりどりの民族衣装で正装し、家族や友人同士連れ立って、長い列を作ってお参りしていました。

日本人も神社やお寺にお参りする機会は多く、神社では二礼二拍手一礼の作法も守りますが、服装は短パンだったりしますね。気持ちの問題なので別に悪いことではないと思う一方、ブータンの人々の神に対する居住まいの正し方は、ちょっと見習うところがありました。
観光客の立場でも、地元の人々の参拝の習慣にはなるべく従い、まねできないところはせめて邪魔しないように、という気持ちに自然になるものです。

・・・しかし、どこにでもびっくりするような人たちはいるもので。
パロのキチュラカンという、7世紀に建てられたとされる有名な古寺を訪ねたときのこと。
日本人のシニア層のグループが来ていました。
地元の人々が静かにブータン式の祈りを捧げる中、その人たちは、床に座って日本式のお経を大声で合唱し始めたのです。
よくお葬式とか法事で聞く、ああいうお経です。
ブータンの人々は黙って祈るだけなので、その日本人たちのお経だけが響き渡り、寺院内は異様な雰囲気。
私もあまりにもぎょっとして、どこの宗派のお経かも確認できませんでしたが・・・。

信仰のかたちは人それぞれとはいえ、そんなところで自己主張しなくてもいいんじゃない?
ああやって世界各国の寺院を廻ってるんだろうか、あの人たち。

2012年3月1日木曜日

ブータンの旅: 幸せの根底にあるもの

ブータンに行ってきました。
昨年の国王来日で一躍注目された「幸せの国」。実際、先進国と呼ばれる国々が忘れてしまったものがまだたくさんあり、幸せのあり方を考えさせられる国です。

一番印象的なのは、敬う心。
ブータンは仏教文化の国です。人々は家でも学校でも、小さいときから仏教の精神や道徳を厳しく教えられ、その教えを一生、軸として持ち続けます。
宗教を妄信したり、頼ったりということではなく、常に神や自然に対し畏敬の念を持つことが、家族や周りの人たちに対する敬意につながっているのだと思います。

それと切り離せないのは、絶大な人気を誇る国王の存在です。
自ら絶対王政に終止符を打った先代の国王も、一般の人々と対話する現国王も、国と民のために行動するリーダー且つ人徳者であることが、地元の人の話から伝わってきます。
国のトップが国民のロールモデル。
そんな国って、すごいと思うのです。

もう一つ驚いたのは、主要産業でもある農業は、ほとんどがオーガニック栽培だということ。
人口が少ないブータンでは、農作物の大部分が自家消費用だったせいもありますが、きれいな心にはクリーンな食べ物も影響しているような気がして、妙に納得。

人口70万人の国のGross National Happiness(国民総幸福量)。
伝統と文化に裏打ちされた幸せには、ブレない強さを感じます。