2012年5月18日金曜日

クルーズというスタイル

昨日、東京に停泊していたラグジュアリークルーズ船「Silver Shadow (シルバー・シャドー)」の船内見学をさせて頂きました。

定員382名とクルーズ船としては小型。
これくらいのサイズのほうが、思わず「これ船?」って聞きたくなる超大型客船よりも船らしさがあります。
船室は30平米前後から120平米台まで、ホテル並以上の広さ。船という限られた空間の中、無駄は極力排して造られているはずですが、ダブルシンクや大きめのウォークインクローゼットなど、ドレスアップする機会も多い長期のクルーズ旅行にあって欲しいものはちゃんと備わっています。

クルーズはライフスタイルだと言われます。
ゲストには常連も多く、中には様々な航路を乗り継いで世界中を廻り続けているパーマネントトラベラーのような人もいるとか。

一方、一般的な旅の選択肢としてはなかなか思いつきにくいのも事実です。
でも、旅のスタイルとしてはこれ以上楽なものはないかもしれません。
地上でアクセスするには面倒な場所も、朝目が覚めたら着いているし、一度船に乗ってしまえば、荷物を持って各地を移動する必要もありません。
普通の旅行ではあまり行かない土地に寄港できるのもクルーズならでは。
船内の食事や飲み物はすべてオールインクルーシブで、チップも含まれているので、面倒な計算も無し(*これは船の会社によってシステムが違います)。
料金も、食事と宿泊、且つ移動手段もついてくると考えると、1日当たりの金額は普通の旅行とあまり変わらなかったりします。

また女子にとっての楽しみの一つは、フォーマルなドレスコードの夜。
普段とは違うドレスアップをすることで、気分も「しゃん」とします。
友達の結婚式で一度着たきりクローゼットで眠っているドレスを活用するいい機会かも?

2012年5月2日水曜日

ジャクソン・ポロックと原弘

閉幕間近となった「ジャクソン・ポロック展」に昨日行ってきました。ポロックの生誕100年を記念して日本で初めて開催された大回顧展。
ポロックの作品は、一目見て衝撃を受ける人がいる一方、単品で見せられてもツボにはまりにくい人も多いと思います。私も後者のタイプで、これまで各地の美術館などで彼の作品を見ても、どうという感想を持たずにいました。でも今回の展示は、彼の生涯のコンテクストの中で作品を見せ、ポロックファンならずとも感情移入しやすい構成だったと思います。
その流れの中で見るクライマックスが、1950年制作の「インディアンレッドの地の壁画」。圧倒されるような色と線。最高潮に達していたポロックのエネルギーを感じました。

ポロック展と同時開催中の「原弘と東京国立近代美術館」展も、なかなか新鮮でした。今年60周年の同美術館の開館から23年間、美術展のポスターを一貫して手掛けたデザイナー原弘(はらひろむ)氏の作品群です。同氏のポスターのデザインは、古さがかえって新しさを感じさせるものも、そのまま現代にあってもまったく違和感がないものもあり、均整の取れた普遍的な美しさを見せています。興味深かったのは、同氏がグラフィックデザインを手がけた「FRONT」という日本の対外宣伝誌。ソビエト牽制の目的で、戦前から戦中にかけて複数言語で発行されたそうです。要は日本の軍隊の優秀さ、強さをアピールするためのものですが、これがとても美しいビジュアルで構成されているのです。今だったらこんな美しい軍隊グラビア誌、作れるでしょうか?
美は、時に圧倒的な強さを印象付ける手段にもなるのだと実感した作品でした。