今年(2022年)2月9日に90歳の誕生日を迎えたゲルハルト・リヒターの個展が、翌日2月10日に1周年を迎えたエスパス・ルイ・ヴィトン大阪で開催されている。
「ルイ・ヴィトン メゾン大阪御堂筋」の建物を見たとき、ああ、やっぱりパリのルイ・ヴィトン財団美術館に似てる、と思った。でもよく考えると、大阪は青木淳、パリはフランク・ゲーリーの設計。調べてみると共通点は船のイメージだった。大阪は菱垣廻船から着想を得たそう。
5階のエスパス・ルイ・ヴィトンの入口ではゲーリーのロゴ彫刻が輝く。
「Abstrakt」と題された今回のリヒターの個展は、初公開のものも含め、ルイ・ヴィトン財団のコレクションから選んだ大型でインパクトある作品が並ぶ。油彩、ペイントした写真、ガラスに流した絵の具など、リヒターの様々な手法、様々なテクスチャーの作品がピックアップされている。そして意外なほど明るい色のものが多い。リヒターが惜しみなく色を使うようになったのは1979年とのことで、展示はそれ以降の作品に集中している。
6月からは東京国立近代美術館でリヒターの生誕90周年・画業60周年記念の大規模な回顧展が予定されている。そちらはリヒター自身が愛蔵してきた作品が中心とのこと。二つの展示を併せて見ると、視点がプラスされて更に面白いかもしれない。(「Abstrakt」展は2022年4月17日まで)