2021年3月20日土曜日

「Louis Vuitton &」展

3月19日に開幕した「Louis Vuitton &」展。原宿駅からすぐのスペースが、LV一色になっている。


ルイ・ヴィトンとアーティストとのコラボレーションの事例を通じて、ブランドの歴史と世界観を表した展示で、ヴィトンユーザーでなくても行く価値があるアート展。初日の最初の回を見に行った。日時予約制なので混雑もない。


ブランド初期から現代までのアイコニックなプロダクトの数々が、部屋を追ってジャンルごとに展示されている。ヴィトンとアーティストとのコラボは、村上隆あたりからなんとなーく記憶していたが、そんな浅い歴史ではなくアールデコの頃からすでに始まっていた。ヴィトンは早くから時代を取り込んできたことがわかる。ヴィトンが誰とコラボしたかを知ることは、各時代を代表するアーティストが誰だったかを振り返ることにもなり、社会とアートのヒストリーという点でも興味深い。

ザハ・ハティドのモノグラムバッグ

展示の最後のほうの「デジタリー・イン・モーション」は、インタラクティブな遊びのスペース。人が前に立つと、その動きに合わせてグラフィティが映し出される。歌舞伎とモノグラムの競演も楽しい。

しかしやはり印象に残るのは、100年以上前に素敵な旅のためのラゲッジを徹底的に追及していたその精神。折り畳みベッドを収めた1898年の「ベッド・トランク」や、洋服をたたまずにかけられるキャビネットなど、これを持って旅に出られた当時の人たちはどんなに心が躍ったことだろう。もちろん、今の時代には実用的ではないものばかりだが、一部の人たちが享受したこうした「荷造りの楽しみ」は、万人がほぼ同じような荷物で旅行に出かける現代では失われていると思う。

奥がベッド・トランク

どこか遠くへ旅行したいなー、という気分になって展示会場を出ると、特設ギフトショップがある。ここだけの限定商品や、先行販売の新作もあるそう。春らしいカラーに満ちたポップな内装がかわいく、見ていてワクワクする。そして思わず欲しくなる。

見事にヴィトンの世界に取り込まれたイベントだった。

表参道の神殿

表参道にある杉本博司さんのオブジェ。空間全体のデザインが「究竟頂(くっきょうちょう」という。

「究竟頂」とは金閣寺の最上階の三層の呼び名だそうで、天上界、極楽浄土を意味するらしい。もうできて7、8年になる商業ビルの中にあるが、お店が並ぶ通路ではないため、あまり気づかれていないと思う。人も少なく、神殿のような、教会のような、厳かな雰囲気の異空間。

ちょっとペースをリセットしたいときに立ち寄りたい場所。