3月19日に開幕した「Louis Vuitton &」展。原宿駅からすぐのスペースが、LV一色になっている。
ルイ・ヴィトンとアーティストとのコラボレーションの事例を通じて、ブランドの歴史と世界観を表した展示で、ヴィトンユーザーでなくても行く価値があるアート展。初日の最初の回を見に行った。日時予約制なので混雑もない。
ブランド初期から現代までのアイコニックなプロダクトの数々が、部屋を追ってジャンルごとに展示されている。ヴィトンとアーティストとのコラボは、村上隆あたりからなんとなーく記憶していたが、そんな浅い歴史ではなくアールデコの頃からすでに始まっていた。ヴィトンは早くから時代を取り込んできたことがわかる。ヴィトンが誰とコラボしたかを知ることは、各時代を代表するアーティストが誰だったかを振り返ることにもなり、社会とアートのヒストリーという点でも興味深い。
ザハ・ハティドのモノグラムバッグ |
展示の最後のほうの「デジタリー・イン・モーション」は、インタラクティブな遊びのスペース。人が前に立つと、その動きに合わせてグラフィティが映し出される。歌舞伎とモノグラムの競演も楽しい。
しかしやはり印象に残るのは、100年以上前に素敵な旅のためのラゲッジを徹底的に追及していたその精神。折り畳みベッドを収めた1898年の「ベッド・トランク」や、洋服をたたまずにかけられるキャビネットなど、これを持って旅に出られた当時の人たちはどんなに心が躍ったことだろう。もちろん、今の時代には実用的ではないものばかりだが、一部の人たちが享受したこうした「荷造りの楽しみ」は、万人がほぼ同じような荷物で旅行に出かける現代では失われていると思う。