2014年12月19日金曜日

オーガニック農園にて

畑でもぎたてのトウモロコシを生で食べたこと、ありますか?

先週末、マレーシアのオーガニックリゾート「The Chateau」を訪問。3年前のオープニングの時はビニールハウス一つ分しかなかったオーガニックファームは、今や立派な大農園に。リゾートの野菜や果物類はここから調達される。


スタッフの方がセージ、ローズマリー、タイム、レモングラス、パセリなど、フレッシュなハーブを摘んで渡してくれた。香りがいいのはもちろん、その色や形の美しさにも感心する。


そのままサラダになりそうな生き生きしたレタスも、農薬を使っていないので、摘んで食べても安全。

ただ、農薬を使わないということは、害虫も発生しやすいということ。作物がいっぺんにだめになるリスクもある。スタッフは広い敷地の作物を一つ一つチェックして、手作業で虫を排除する。大変な仕事だと思う。

そうやって大切に育てられたトウモロコシを、スタッフはその場でもいで、皮をむいて手渡してくれた。ほんとに生で食べておいしいの?と半信半疑でかじってみると、その甘さに驚愕!新鮮な実の甘みと水分が口に広がる。


この味を知っている人にとって、美味しいトウモロコシは生で食べるのが当たり前で、蒸したり焼いたりするのは甘くないトウモロコシだけだそう。これまでの人生で私は、トウモロコシに対してもったいないことをしてきたのか、それともだまされてきたのか?

食はその人を作るという。ピュアなものを食べないと。


2014年12月14日日曜日

リニューアルオープンしたピカソ美術館

パリのピカソ美術館。5年間の大規模な改修を経て、この10月25日にリニューアルオープン。10月25日はピカソの誕生日だそう。

待ちに待ったオープンから1か月以上が過ぎても、入場待ちの長い列ができていた。(チケットは事前予約したほうがベター。)

世界のピカソ美術館の中でここは最も所蔵作品数が多く、その数5000点。展示スペースが拡張され、5フロアに渡ってピカソの作品群と、彼の個人コレクションが展示されている。ピカソの作品は時系列で展示されている。手渡されるブックレットを見ながら鑑賞すると、各時代の特徴や背景が一層理解しやすい。

パッと見て誰もがピカソと認識する作品から、これもピカソなの?と思うような作品まで、次から次へと目に入ってくる。今さらここで述べることでもないが、10代の頃にすでに発揮していた才能や、一生を通しての幅広い作風に改めて驚愕する。そしてその色の豊富さに、心が躍る。

3階に展示されたピカソが保有していたコレクションも必見。セザンヌ、ゴーギャン、マティス、ルソー、ジャコメッティなどの名作が並ぶ。




あまりの作品の多さに、見終わる頃は軽い疲労感を覚えるくらいだった。「ピカソのルーブル」という感じ。充実感はこの上ない。

マレ地区にあるこの美術館の周りには、素敵なブティックやカフェだけでなく、面白いアートギャラリーも多い。是非、半日はかけて行きたい。





2014年12月12日金曜日

ブローニュの森に浮かぶ船 Fondation Louis Vuitton

パリのブローニュの森に、この10月27日にオープンしたルイ・ヴィトン財団美術館(Fondation Louis Vuitton)。構想12年、万を時しての完成は大きな話題となった。

フランク・ゲーリーによる建物は、全体像をカメラに収めるにはかなり離れなくては無理(だから今回は諦める)。たくさんの船倉が組み合わさったようなガラスのシェルに覆われた建物は、一艘の巨大な船のようにも見える。



訪問時は次の企画展の準備期間だったが、建物の見学はできるので、多くの人がチケットを買って入場している。中のギャラリーではゲーリーの12年間のデザインの変遷を追った展示が見られた。

実際に使われたプロトタイプのモデルの数々を、訪れた人々は皆、興味深そうに眺めていた。これほど建物とその建築家がフィーチャーされる美術館も珍しいのではと思うほど、ショップもゲーリー一色。
建物内を順に見ていくと屋上のテラスに出る。屋上といってもフラットなスペースがあるわけではなく何層にも分かれていて、極めて曲線的で左右対称なところがひとつもなく、歩いて進むごとに違った風景が現れる。究極の多面体の中にいるような感じ。



ちなみに1階のロビーのカフェの上を泳ぐ魚のオブジェもゲーリーによるもの。


今後も注目の企画展が目白押しのフォンダシオン・ルイ・ヴィトン。行くなら建物鑑賞もお忘れなく!





2014年12月7日日曜日

カンヌでアート鑑賞したいときは

カンヌには素敵なミュージアムが皆無に近い。
隣のニースには、マティス美術館、シャガール美術館など有名な美術館が何軒もあるのに、「カンヌ  美術館」で検索しても近くのアンティーブのピカソ美術館が出てくるだけ。

そんなカンヌで唯一チェックすべきは「マルメゾン (Centre d'Art La Malmaison)」。クロワゼット沿い、リッツカールトンの隣にある。それなりに目を引く建物だが、あまり知られていない。

元はグランドホテルの一部だった建物をカンヌ市が買い取り、2001年以降、年に2、3回企画展を開催している。20世紀、21世紀のアーティストにフォーカスし、ピカソやミロなどの他、日本では見る機会が少ない数々のヨーロッパのアーティストたちの作品も展示してきた。

今回の訪問時には、フランスの抽象画家ジャン・フォートリエの回顧展を開催中。タシスムの代表的な作家としてしられるフォートリエについては、偶然にも今年、日本初の大規模な回顧展が東京で開催されたばかり。まだ大阪に巡回中だったので、主要な作品は日本に行っていたと思うが、それでも作家の特徴を理解するに充分な作品群が展示されていた。

マルメゾンの展示の説明書きは、全てフランス語のみで、英語は併記されていない。海外からカンヌに来る人のほとんどは、毎週のように開催される何らかの見本市に参加するビジネス客。コートダジュールという場所柄、どの業界でも見本市期間中は商談と、ビーチ沿いでのランチと、夜のパーティに明け暮れる。昔から変わらないややデカダントな数日間。そして見本市が終わると皆すぐにカンヌを後にし、帰路につくか、週末をヨーロッパの他の都市で過ごす。カンヌでアート鑑賞モードに入っている人のほうが珍しい。だから非フランス語圏の人たちは最初からあまりターゲットにされていないのだと推測する。

でも、カンヌに仕事で来て、連日のランチやディナーで食傷気味のときは、ランチを一度スキップし、マルメゾンで静かにアート鑑賞してみるのも悪くないと思う。(マルメゾンは13時から14時は昼休み)