2023年8月3日木曜日

姫路で見たチームラボ

この夏、姫路でチームラボの展示を2つ見た。

ひとつは書寫山圓教寺で開催中の「認知上の存在」。966年創建の圓教寺は「西の比叡山」とも呼ばれ、海抜371mの山の上にある。ロープウェイで志納所がある山上駅まで、ガイドさんの説明を聞き、遠くは瀬戸内海までの景色を見ながら上る。

ロープウェイに同乗していたほとんどの人は、立派な伽藍が配置された広大な境内を歩いて廻るようだった。その日は35度越えの猛暑。私は迷わず志納所からマイクロバスに乗った。とはいえそれも途中の摩尼殿の近くまでしか行かず、そこからチームラボの展示がある食堂(じきどう)までは結構な上り坂を10分くらい歩くしかない。山なのだから仕方ないか。炎天下、とにかく素早く着くことを目標に速足で行く。

食堂は二階建ての仏堂としては最大で、長さ約40m。国の重要文化財に指定され、映画「ラスト・サムライ」のロケにも使われたという輝かしい経歴を持つ。

一歩中に入ると、焼けつくような太陽の眩しさからは隔絶された静けさ。展示室内はとても暗いので係の人が誘導してくれる。

展示作品は大雑把にいうと赤と白の二つ。いずれも食堂の長さを奥行として活かしている。白は「質量のない太陽、歪んだ空間」という作品。光で満たされたトンネルを手前から見る。光の明るさは常に変化し、境界線がはっきりしない。


赤いほうは「我々の中にある巨大火花」。こちらは奥まで歩いて行ける。奥にある球体の近くまで行って後ろを振り返ると、壁があるわけではないのに自分の影が目の前にあった。


境界の曖昧さ、認知している世界の不確かさが二つの作品の共通のテーマ。目まぐるしい動きはなく、鑑賞者を静かに迎える瞑想の空間のようだった。


さて、ロープウェイで下に降り、今度は姫路市立美術館へ。世界遺産・姫路城を臨むレンガ造りの建物。ちょうど中谷芙二子氏の「霧の彫刻」が出現するタイミングで、外国人観光客の親子が嬉しそうにミストを浴びて涼んでいた(たぶん彫刻とは思ってない)。


ここで並行開催されているチームラボの展示は「無限の連続の中の存在」。展示は5つのエリアに分かれている。

カラフルなドットが躍るフォトジェニックな空間もその一つ。手で触れるとドットがバラバラになり、また近い点同士が自然に揃っていく「引き込み現象」、つまり秩序の形成を表現しているとのこと。


様々な植物が生まれて花を咲かせ、やがて枯れていく様子を繰り返し描いた作品は、美しさと儚さ、生命のサイクルを感じさせる。

そして一番奥の部屋にいるのは、人、それとも神?

姫路の二つのチームラボ展は、存在とか生命とか無限とか、そういうことをちょっと考えさせる体験だった。