4月20日から、上海のウエストバンド・アートセンター(西岸芸術中心)でシャネルの「マドモアゼル・プリヴェ(Mademoiselle Privé)」展が開催されている。ロンドン、香港、ソウルに続く巡回展。
行ってみると入場を待つ人の長い列が。どうやらWechatで入場時間の予約が必要みたいで、アプリを立ち上げてそこにあったQRコードをスキャンしてみる。…。表示された中国語の画面を見て固まっていると、係のお兄さんが声を掛けてくれた。「中国の携帯番号ある?」と聞かれ、無いと答えると、じゃ、ここを進んで、と、行列の隣の誰もいないレーンを通してくれた。え、いいの?と思いながら進み、入り口で係りの人に言われるままに名前と日本の携帯番号を入力すると、そのまま入れてくれた。え、ほんとにいいの?外国人観光客優遇かしら。よくわからないけど、ありがたい。
会場は飛行機の格納庫だった大きな建物。展示のある2階への階段の前で並び、順番が来ると素敵なポーチをくれる。
入場無料で、しかも「シャネルのポーチ」がもらえるなんて、嬉しいに決まってる。行列の理由はここにもあるのかもしれない。
展示は香水、オートクチュール、ハイジュエリーの3つのテーマに分かれ、それぞれの入り口には象徴的な番地表示がある。香水の部屋はNo. 5、オートクチュールの部屋はシャネル本店があるカンボン通り31番地、ハイジュエリーはヴァンドーム広場18番地。
香水の部屋では、No.5の原料となる花を模した、ピンクやクリーム色のペーパーフラワーの畑が広がる。
オートクチュールの部屋は、カール・ラガーフェルドによる過去のコレクションやデザイン、イメージ映像など、ラガーフェルドとココ・シャネルへのオマージュに満ちた内容。
ハイジュエリーの部屋では、まぶしいほどの輝きを放つジュエリーの数々が展示されていた。1階ではフランスの職人を招いてのワークショップが行われ、こちらも賑わっていた。
多くの人が写真撮影に熱心なのはどこでも同じだが、面白いのは、日本ではインスタ映えには必ずしも人物は必要ないが、上海ではポートレート撮りをする人が多いこと。記念写真的なものではなく、カメラ目線を外した雑誌風(を狙った)ショット。自撮りでも友達同士での撮影でも、多少ナルシスト的要素がないと人前でこういうのは撮れないが、ここはそういうモードになるのにうってつけの場所なのだろう。これも行列のもう一つの理由かもしれない。
西岸と呼ばれる黄浦江沿いのエリアは、近年開発が急ピッチで進み、新たなアートハブとしての存在感を増している。今回会場となっているウエストバンド・アート・センターはその核となる施設のひとつで、良質なアートギャラリーが集まっている。多くのギャラリーが展示替え期間に当たっていたこともあり、シャネル展以外は人もまばらだったが、これからM50や北京の798のような場所になっていくのだろうか。
近隣のYuz Museumや、今年オープンしたTank Shanghaiに続く、新たな美術館のオープンも予定されていて、一大「アートベルト」の誕生が楽しみ。
上海でのMademoiselle Privé 展は2019年6月2日まで。