2020年12月29日火曜日

琳派と印象派とアーティゾン美術館

アーティゾン美術館で開催中の「琳派と印象派」展へ。


2020年1月にリニューアルオープンして以来、この美術館の空間が気に入っている。大きなガラス面に囲まれた明るい吹き抜けのロビーは、美しいものが待っているという期待感を高めてくれる。


今回の展示の目玉は何といっても、俵屋宗達の「風神雷神図屏風」。京都・建仁寺からやってきた本物で、後期のみの展示なのでそれを待って出かけた。描かれたのは約400年も前なのに、現代の日本人の大多数がきっと一度は見たことがあり(それが光琳や酒井抱一の模写だったとしても)、誰が描いたのか知らなくても見せられれば「ああ、それ有名だよね」と認識できる日本の絵画作品はそう多くはないだろうし、そういう意味ではフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」に匹敵するポピュラーさだと勝手に思っている。(これが「モナリザ」だと、ほとんどの人がタイトルも作者も言えるレベル。)

色々な人が模写しているが、個人的には宗達のオリジナル版が、風神と雷神の色も含めて一番気に入っている。そして、以前建仁寺で複製を見たときには感じなかったーとまでは言わないがー、今回の本物の展示を見て改めて、今にも前進してきそうな風神と、宙に浮いて雷を操る雷神の「動き」を感じた。やっぱり本物は違う、などと言ってしまえばそれまでだが、むしろ「本物を見ている」という思いが、鑑賞者の気づきに影響するのだろう。今は複製も高精細で、情報量としては本物と同じかそれ以上に違いないが、複製と言われるとどこか冷めた目で見てしまう。情報をくみ取って吸収するかどうかは、見る者の心構え次第で大きく変わる。

その延長で考えると、最近よく話題になっている「オンライン・ツアー」も一種の複製。自由に旅行に行けない状況下でのエンターテイメントとしては理解しつつも、実際に旅するときに発生する「熱量」のようなものは感じることができない。その熱量があって初めて、旅は体験として吸収され、あとで「思い出」に姿を変えるのだと思う。

展示に話を戻すと、今回の企画展は琳派と印象派という東西の美術を「都市文化というキーワードで再考する」趣旨とあったが、印象派は石橋財団コレクションの真骨頂ともいえる部分で、それぞれ単独の展示としても十分見ごたえがあった。

アーティゾン美術館の展示スペースはリニューアル前の2倍の2100平米になり、充実した国内外のコレクション展が見られるのも素晴らしい。

4階のインフォルームも美しい空間。どうやら壁の棚のデザインは本のページをイメージしているよう。


絵になる建物の美術館は、それだけでもまた行きたいと思う。