2010年5月30日日曜日

印象派三昧の夏

森アーツセンターギャラリーで開催中の「ボストン美術館展」を先週見に行ったのですが、その混雑ぶりは予想以上でした。チケット売り場はシニア層の方を中心に列ができ、とても平日朝の六本木ヒルズとは思えない・・・。
改めて、日本人の印象派好きを認識しました。
この調子じゃあ、オープンしたばかりの「オルセー美術館展」なんてどんなに混んでいることか、恐ろしくてまだ行けません。

普段は一度に見られない作品群が日本に集合する展覧会は、もちろん行く価値大ですが、
満員電車のような人混みのストレスが大きくて、芸術を愛でる心境になれないこと、ありませんか?

むしろそういうときは「下見」と割り切って、好きな作品があればその故郷まで行ってみるのが一番です。

印象派ファンには気になるイベントがこの夏、フランスのノルマンディーで開催されます。
その名もずばり「ノルマンディー印象派フェスティバル」。

6月から9月までの間、ルーアンやル・アーヴルなど各地の美術館でモネ、ゴーギャン、ドガなどの企画展が開かれるほか、「草上の昼食」さながらのランチョン、ガンゲットと呼ばれるオープンエアのダンスホールの再現などなど、様々なイベントが予定されているそうです。

印象派のルーツを辿るなら、たとえばパリからセーヌ川に沿うようにノルマンディーを北上。
スーラが描いたグランド・ジャット島、
モネの睡蓮の池の庭園があるジヴェルニー、
モネが30バージョン以上も描いた大聖堂のルーアン
ブーダンの生まれ故郷の港町オンフルール、
印象派という呼び名の由来となった絵の舞台ル・アーヴルなどを通り、
モネ、マネ、ブーダンなどが魅せられた、白い崖とアーチが美しい海岸の町エトルタまで。

アーティストたちを魅了した光と色彩を体感する旅は、どんな展覧会よりも鮮やかな印象を残してくれるはずです。

MAXXI in Rome

5月30日、ローマに国立21世紀美術館(Museo Nazionale delle Arti del XXI Secolo)がオープンします。略称MAXXI 。

MAXXIは、イタリア初の国立の現代美術館。建築とアートの二つの軸で、20世紀から現在までの作品や資料の展示のほか、今後の現代アートの発展のための企画を行っていくようです。

建物の設計は女性建築家ザハ・ハディド。低層のコンクリートの建物で、内部は黒い階段が各フロアをつなぎ、色彩的にはそっけないくらいの印象ですが、直線と緩やかな曲線が重なり合うデザインは、現代美術館らしい造りです。

MAXXIは市の中心部からは少し離れていますが、ローマでは歴史的な景観を損ねるという理由で、遺跡が集まる地区の現代的な建築物は嫌われることが多いので、賢明なロケーション選択だったようです。

過去の歴史に目が行きがちだったローマの旅も、ちょっと視点が変えられますね。楽しみ。

2010年5月25日火曜日

凛とする

最近、香港人の女性から言われた一言。

「日本のおばあさんって、凛(りん)としていて、いいわね。」

ほほう。

年代を問わず、おしゃれで元気な女性は増えているかもしれません。
でも、それは凛としていることとイコールではなく、
また自分の意見を持つことも、凛とすることの必要条件ではあっても、十分条件ではない。

信念があって、しなやか。

凛としているとは、そういうことのように思います。
外国人の彼女は、今の日本でおばあさんと呼ばれる世代の女性たちを見て、そんな雰囲気を感じたのでしょう。

私たちがその年代になるころ、日本女性は外国から見ても「凛とした」存在でいられるでしょうか?

そんなことを考えさせられた一言。