10日ほど前、アーユルヴェーダを体験しにスリランカまで行ってきた。
滞在したのは、首都コロンボの空港から車で約2時間半南に行ったベルワラにあるHeritance Ayurveda Maha Gedaraというリゾート。
ゲストは9割以上がドイツ人。毎年リピートする人も多く、2週間程度滞在し体をリセットして帰る。アーユルヴェーダは、本当は1週間以上滞在しないと意味がないと言われるが、今回私は様子見で4日間だけ。短期滞在は受け付けないリゾートもあるが、ここは3泊からのショートプログラムも用意している。
滞在の初めに医師のドーシャチェックを受ける。ドーシャとは体質のこと。脈診、触診、生活習慣や体調・病歴等の問診、体重測定などによって、医師がドーシャを判定する。大きくはヴァータ(風と空)、ピッタ(火と水)、カパ(土と水)の3タイプに分けられる。各ゲストのドーシャと改善点に合わせたトリートメントプログラムが組まれ、薬も処方される。
リゾートでの生活は規則正しい。始まりは朝7時のヨガ。鳥の声や、雨が降りそうなときはカエルの声を聞きながら1時間のセッション。都会のスタジオとは違う爽快さ。その後朝食。
午前中か、昼食後の午後に2時間のトリートメントセッションがある。ハーブオイルを使ったマッサージや、ハーブバス、スチームバスなど、約20のメニューから4つを30分ずつ受ける。30分の中にはリラックスタイムも含まれるため、ひとつのトリートメントは15分から20分くらい。ちょっと物足りないと感じるかもしれない。長期滞在者のほとんどは、オイルを額にたらすシロダーラを受けるが、オイルは施術後4日間ほど置かなくてはならないので、その間、男女とも頭にスカーフを巻いて過ごす。
日中の空き時間は、皆、近くに観光に出かけたり、プールで泳いだりしている。こういう滞在ではのんびり過ごすのが原則なので、部屋にWifiはない(ロビーエリアでは利用可能)。庭には鳥やリスたちが住む美しい森があり、遊歩道を散歩するだけで気持がいい。(実はトリートメントよりこっちのほうがリラックスできた気がする。)
夕方5時から2回目のヨガのクラス。その後の夕食では、レストランの入り口の棚に、各ゲストの名札と、翌日の薬とトリートメントスケジュールが置かれているので、自分の分をピックアップする。
ここではひたすら水を飲むように言われる。冷たい水ではなく、常温の水か白湯を1日1.5リットル以上飲むのが望ましいらしい。部屋には大きなペットボトルが用意されていて、水がなくなったら廊下のあちこちに設置された給水器から汲んでくる。
食事の時も、お酒は当然ない。ウェイターが注ぎに来るのは水かお湯、それに食後のハーブティ。毎食、スープ、サラダ、各種カレーなどが日替わりのビュッフェで並ぶ。料理ごとに各ドーシャの適不適を示す札が置いてあるので、自分のドーシャに合ったものだけを選んで食べる。日本では見ないエキゾチックな野菜も多いが、味付けは上手で日本人の口にも合い、滞在中は飽きずに食べられた。(でも、3食ビュッフェの生活を2週間も続けたら、きれいに盛り付けた料理をサーブしてもらう食事が恋しくなるかもしれない。)
このホテルの最大の魅力ともいえるのはその建築。スリランカの著名な建築家ジェフリー・バワ(Geoffrey Bawa)の手によるもの。南仏を思わせる白壁と赤茶色の屋根の建物が、プルメリアが咲き乱れる庭とプールを囲み、海に面して優雅に、堂々と建っている。屋外の光や風を上手に取り入れた造りで、ロビーの自然をモチーフにしたレリーフも優しい雰囲気を漂わせていた。空間の美しさは、長期滞在であればなおさら重要な要素だが、ここは多くの人が良さを認める建築だと思う。
ホテルとしてのサービス面は、正直なところ、詰めが甘い部分がある。でも誰も悪気がないし、感じが悪いことはないので、むしろ、仕方ないよね、という気持ちになる。
でも、客室係のお兄さんは、タオルで白鳥とさざ波を表現して置いて行った、なかなかのアーティスト!
さて、4日間のアーユルヴェーダ効果は?
さすがに短期間なので、目に見える効果は実感できなかったが、翌日、夜のフライトで1時間しか眠れなかった後でもほとんど疲れなかったのは、ここでのクリーンで規則正しい生活のおかげだろうかと、ちょっと思っている。