そんなつもりはなかったのだが、9月に見た東京での「藤田嗣治展」をきっかけに、結果として今年後半はフジタ巡りになった。
11月にパリ近郊のメゾン・アトリエ・フジタを訪れ、今回は、シャンパーニュ地方のランスへ。
フジタはフランスに帰化し、1959年にランスのノートルダム大聖堂でキリスト教の洗礼を受けた。世界遺産にも登録されたゴシックの聖堂で、フランスの歴代の王の戴冠式が行われた場所でもある。
聖堂は美しいステンドグラスで彩られ、その中にはマルク・シャガールが1971年に制作したものもある。
話をフジタに戻すと、シャンパン・メゾンのMummの向かいに、有名な「フジタ礼拝堂」がある。フジタ自身が設計した礼拝堂の中に、彼が80歳で描いたダイナミックなフレスコ画が保存されている。しかし、残念ながら礼拝堂は5月から9月までしか公開されていないため、今回は外から眺めるのみ。
フジタの没後、彼の作品や関連文書2500点近くの寄贈を受けたランス美術館には、フジタ作品だけを展示した部屋がある。美術館は近く改装が予定されており、将来は更にスペースを広げた240平米のフジタルームがオープンする。
この常設展示に含まれないコレクションを披露する形で、ランス美術館は二つのフジタの企画展を開催している。いずれもフランスで展開されている「ジャポニスム2018」、及びフジタの没後50周年企画の一環。ひとつは「Regard sur... Foujita L'elegance du trait」(2019年2月11日まで)。「描線のエレガンス」と名付けれられたこの展示は、「La Rivière enchantée」という1951年の本にフジタが寄せた挿絵を中心に構成される。フジタ自身が愛したパリの風景を描いており、フジタが挿絵を描いた本では最も貴重とされている。
もう一つは、カーネギー図書館を会場にした「Foujita, l'artist du livre(フジタ、本の芸術家)」(2019年1月12日まで)。この図書館はフジタが挿絵を描いた本をコレクションに加え続けており、上述の「La Rivière enchantée」も入手している。
ちなみにこの図書館は、あのニューヨークのカーネギーホールを建てた鉄鋼王アンドリュー・カーネギーが、第一次大戦後、ランスに寄付したもの。アールデコの装飾が美しい。
こちらでは様々な本に掲載された、それぞれ異なるスタイルのフジタの挿絵が展示され、なかなか面白い。
日本の雑誌の表紙もあった。
カーネギー図書館の展示は入場無料にも関わらず、内容も資料も充実していた。ちょっとしたおまけとして、フジタの猫(?)が作れる折り紙も、ていねいに別紙の折り方説明書と一緒に置かれていた。
もう一つ、ランスでフジタとゆかりが深いのは、前述のシャンパン・メゾン、Mumm。フジタが洗礼を受けた際、当時の社長でフジタのパトロンでもあったのルネ・ラルーがゴッドファーザーを務めた。その絆へのオマージュとして作られたのが、「RSRV ロゼ・フジタ」(写真一番右)。
今回、味わう機会はなかったが、フジタ礼拝堂のフレスコ画を見に再訪する時の楽しみに取っておく。
11月にパリ近郊のメゾン・アトリエ・フジタを訪れ、今回は、シャンパーニュ地方のランスへ。
フジタはフランスに帰化し、1959年にランスのノートルダム大聖堂でキリスト教の洗礼を受けた。世界遺産にも登録されたゴシックの聖堂で、フランスの歴代の王の戴冠式が行われた場所でもある。
聖堂は美しいステンドグラスで彩られ、その中にはマルク・シャガールが1971年に制作したものもある。
話をフジタに戻すと、シャンパン・メゾンのMummの向かいに、有名な「フジタ礼拝堂」がある。フジタ自身が設計した礼拝堂の中に、彼が80歳で描いたダイナミックなフレスコ画が保存されている。しかし、残念ながら礼拝堂は5月から9月までしか公開されていないため、今回は外から眺めるのみ。
フジタの没後、彼の作品や関連文書2500点近くの寄贈を受けたランス美術館には、フジタ作品だけを展示した部屋がある。美術館は近く改装が予定されており、将来は更にスペースを広げた240平米のフジタルームがオープンする。
この常設展示に含まれないコレクションを披露する形で、ランス美術館は二つのフジタの企画展を開催している。いずれもフランスで展開されている「ジャポニスム2018」、及びフジタの没後50周年企画の一環。ひとつは「Regard sur... Foujita L'elegance du trait」(2019年2月11日まで)。「描線のエレガンス」と名付けれられたこの展示は、「La Rivière enchantée」という1951年の本にフジタが寄せた挿絵を中心に構成される。フジタ自身が愛したパリの風景を描いており、フジタが挿絵を描いた本では最も貴重とされている。
もう一つは、カーネギー図書館を会場にした「Foujita, l'artist du livre(フジタ、本の芸術家)」(2019年1月12日まで)。この図書館はフジタが挿絵を描いた本をコレクションに加え続けており、上述の「La Rivière enchantée」も入手している。
ちなみにこの図書館は、あのニューヨークのカーネギーホールを建てた鉄鋼王アンドリュー・カーネギーが、第一次大戦後、ランスに寄付したもの。アールデコの装飾が美しい。
こちらでは様々な本に掲載された、それぞれ異なるスタイルのフジタの挿絵が展示され、なかなか面白い。
日本の雑誌の表紙もあった。
カーネギー図書館の展示は入場無料にも関わらず、内容も資料も充実していた。ちょっとしたおまけとして、フジタの猫(?)が作れる折り紙も、ていねいに別紙の折り方説明書と一緒に置かれていた。
もう一つ、ランスでフジタとゆかりが深いのは、前述のシャンパン・メゾン、Mumm。フジタが洗礼を受けた際、当時の社長でフジタのパトロンでもあったのルネ・ラルーがゴッドファーザーを務めた。その絆へのオマージュとして作られたのが、「RSRV ロゼ・フジタ」(写真一番右)。
今回、味わう機会はなかったが、フジタ礼拝堂のフレスコ画を見に再訪する時の楽しみに取っておく。