2022年2月15日火曜日

大阪中之島美術館

大阪中之島美術館へ。2022年2月2日にオープンしたばかり。


この美術館に関して枕詞のように語られるのは「構想から約40年」という準備期間の驚くべき長さ。1983年に大阪市制100周年記念事業の一つとして「近代美術館を作ろう!」という構想を発表。その後、バブルがはじけたり財政が悪化したりでなかなか進まず、100周年(1989年)どころか130周年も過ぎてしまったが、その間にコレクションは着々と蓄積されてきた。

オープニング記念展は「超コレクション展 99のものがたり」と題し、6000点以上の収蔵作品から約400点を公開している。「99のものがたり」というから100点くらいの展示かと思っていたら、QRコードでアクセスできるストーリー解説を加えたのがうち99点ということだった。

作品の年代は19世紀末から20世紀後半に集中しているが、横幅はすごく広い。展示は3章に分かれ、第1章はコレクションのベースになった寄贈作品や大阪と関わりがある作品。佐伯祐三が大阪生まれだったと改めて認識した。白隠、マリー・ローランサンなどに続き、日本画、写真、版画などが並ぶ。第2章はマグリット、ジャコメッティ、バスキアといった超メジャーな近現代美術。そして第3章はデザインで、ロートレックあり、バウハウスあり、赤玉ポートワインあり。オープンしたての美術館でこの内容とボリュームは圧倒的。「すごいでしょ」という感じが伝わって来る。

最初の構想が「近代美術館」で良かったと思う。「近代」の定義は40年経ってもそれほど変わっていないが、収集している間に変わってしまったらもっとややこしくなっていただろう。現在の収集方針は近代と現代の美術作品をカバーしており、パブリックスペース等に設置された大型の彫刻はコンテンポラリー感ありありなものが目立つ。「現代」は時が経てば「近代」に融合されていく。

オープンが今になって良かったことのもう一つは建物。真っ黒なキューブ型の建物は、40年前やバブル期だったらありえなかったと思う。内部は吹き抜けのフロアを2階から4階まで貫くエスカレーターが入場と退場の導線を分け、直線で構成されたスタイリッシュな空間。展示室に真直ぐ上昇していく感じが期待感を高める。


かなり見ごたえがある展示だったが、披露されたのはコレクションの10分の1にも満たないのだから、これからの企画も楽しみ。すぐ隣は国立国際美術館で、中之島全体をクリエイティブ・アイランドとして打ち出すプロジェクトもある。これからの大阪はアートとデザインの街としても注目!