シンガポールのアーティストYip Yew Chongさんの作品は、観光地から住宅街まで様々なエリアにある。
日本でいうところの「昭和の時代」の日常を題材にしたものが多く、特にチャイナタウンに集中している。
昔の値段の公衆電話と、現代(2019年)の日付のカレンダーが同居している。こういうディテールを見つけるのも面白い。
コナンがドリアンを買いに来ている作品も有名。
ローカルに人気のチョンバル(Thiong Bahru)というエリアにも3つの作品がある。1930年代にシンガポール初の住宅街として開発されたチョンバルは、今でも当時のアールデコ調の建物が並ぶ。
チョンバルは古くから市場を中心に発展してきたが、21世紀に入って再開発が進み、現在では若者にも人気のお洒落なエリアになっている。その歴史をたどる「ヘリテージトレイル」のウォーキングツアーをしている人たちもチラホラ見かけた。
Yipさんの作品でも、昔の露天商や占い師の様子がリアルに再現されている。
中でもチョンバルならではの歴史を物語るのは「Bird Singing Corner」という作品。地元の人がコーヒーを飲みながら、のんびりと籠の中の鳥たちの声に耳を傾けている。2003年まで実際にあった場所だそう。
壁画が縁で知らなかった場所に行き、その歴史を少し知ることができたのは旅の収穫。理想的なストリートアートの在り方だと思う。