2024年4月15日月曜日

シンガポールで壁画めぐり ①カンポングラムとクラーク・キー

昨年6月にシンガポールで見たYip Yew Chongさんの壁画(リンク)があまりにも面白かったので、また見に行ってきた。

Yipさんの作品は1970年代頃のシンガポールの生活を描いたものが多く、ノスタルジックながらもリアルな描写で、人々を絵の中の世界に引き込んでしまう。

今回は新作を見にカンポングラムへ。アラブ系とマレー系の伝統が残るこの地区には2023年8月に完成した超大作がある。

3階建ての建物の壁全面に描かれたのは、屋根から掛けられた大きな布が象徴する布地屋の風景。この建物で50年以上布地卸業を営むオーナーの注文で制作されたもの。(手前に並ぶ4つのタイル画の石柱は以前からあったもので、Yipさんの作品ではない。)


絵は隣の棟にも続き、布地屋以外のスモールビジネスも描かれている。


この壁画はカンポングラム活性化5か年計画の口火を切るものでもある。Yipさんが自身の記憶とリサーチによって作成した下絵は都市再開発局に提出され、歴史専門家などのフィードバックも得て作品に反映された。カンポングラムにはこれまでもストリートアートは存在していたが、この作品は同地区の今後のアートのレベルを一段上げるに違いない。

カンポングラムにもう一つある新作はバスケットと猫の絵。ここは本当にバスケット屋さんなので看板代わりになっている。写真に撮った時の「3D感」もまたYip作品の特徴の一つ。



次はクラーク・キーへ。カラフルな建物が並ぶリバーサイドエリアもリノベーションが進行中。今年完成したばかりのYipさんとtobyatoさんというアーティストの共作「Fire Fish」が、きっと前は地味だったであろう倉庫街を鮮やかに彩る。



古き良き時代を彷彿とさせるタッチと、大胆な現代風のデザインが融合して、なんともかっこいい。

次回へ続く。