2010年8月20日金曜日

外国人から見た京都

原美術館で「ウィリアム・エグルストン: パリ-京都」展を見ました。
タイトルにあるパリと京都は、いずれもそう言われないと、また言われてもわからない、都市の片りんをコラージュしたような写真がほとんどです。

特に京都は期待を裏切られました。いい意味で。
寺社仏閣、石畳、舞妓さんといった典型的な「日本の美」はなく、古ぼけた昭和レトロの看板や、張り紙、現代の若者・・・。日本人からすると「別に京都じゃなくてもいいんじゃない?」と思うような、雑多な日常の一コマ。
エグルストンのパーソナルな視点で切り取られた風景が、新鮮でもありました。

そこで改めて思ったのは、外国人から見た京都はこうに違いないと決めてかかるマインドセットが、ひいては、日本人が海外に自国を紹介する時に陥りがちなステレオタイプにつながっているのだということ。

伝統文化を紹介するのは大切なことです。しかし日本人の目から見てもかっこ良くないいい加減な方法だったら、やらないほうがいいです。
最近も、海外に舞妓さんを出張させ、ナイトクラブのひどい照明の下で舞を披露させて、日本っていいでしょ?とアピールするイベントを実際に目にしました。暗くて舞妓さんも着物もきれいに見えないし、みんなお酒飲んでるからまともに見てないし、そもそも売り込む側に、KYOTO=舞妓さん、という程度の発想しかないのか!と頭を抱え、いたたまれなくてさっさと帰りました。

相手に媚びることなく、日本をその伝統も含め、自分の視点で自信を持って紹介できるようでいなくてはと思います。

2010年8月10日火曜日

北斎、買いました

日本橋のギャラリーで葛飾北斎の版画を買いました。
といっても、ポストカードサイズの小さなものです。
でも、江戸時代に作成された正真正銘のオリジナル。

北斎と言えば、冨嶽三十六景色や北斎漫画などを思い浮かべますが、季節感ある日常的なモチーフを描いた小作品もたくさん残しているのです。

私が買ったのはカワセミの絵。
ふさふさした羽の感じが手で包み込みたくなるくらいリアルで、ひとめぼれしました。

非常に手が届きやすい価格ということもあり、このサイズの作品は4月の東京アートフェアでも飛ぶように売れたそうです。

小さくても、その時代の本物を手元において鑑賞できる幸せ。

2010年8月5日木曜日

オルセー美術館展とマン・レイ展

夏休みシーズンに入る前に見なくてはと思っていたのに、結局今日になってしまったオルセー美術館展。
今日の東京の予想最高気温は35度。ひょっとして、一番暑い時間帯なら少しはすいてるかも?という期待を胸に行くと、午後1時半、30分待ち。うーん、これはマシなほうと思うべきか・・・・。

今回のオルセー展は言うまでもなく、パリの本家が改装中だからこそ実現した空前絶後のラインアップ。しかし予想通りの混雑に、私の頭はいつもの「下見モード」になってしまいました。

日本で開催される話題の企画展では、人混み疲れしてしまい、アート鑑賞モードになかなか入れません。そんな時は次回の旅の下見と割り切り、「この展示が終わったら、パリのオルセーに行ってじっくり鑑賞しよう」と、思うことにしています。本家に行っても、同じラインナップが常にすべて展示されているとは限りませんが、鑑賞環境は格段に良くなりますから。

それにしても、いつも感心するのは、常にすべての絵を最前列で見るまで並んで待ち、且つ、音声ガイドを忠実に聞きながら鑑賞する人たち。私はあの混雑の中、あんなに満遍なく忍耐強く鑑賞できません。

さて、オルセー展の出口のショップは素通りし、同じ国立新美術館内で開催中のマン・レイ展へ。

こちらは快適にじっくり鑑賞できました。マン・レイの作品をまとめて見る機会は最近なかったので、改めて彼の優れた美的センス、作品の幅に興味を惹かれる展示でした。意外にも大規模な展示で、オルセー展が115点なのに対し、マン・レイ展は400点。見応え十分です。デザイン性のある作品はショップのグッズもぴったりで、展示の延長で見て楽しめます。

でも、やっぱりオルセー美術館展は見ておいたほうがいいと思うので、まだの方は混雑覚悟でお早めに。
どうせ行くなら、マン・レイ展も是非。