北京のホテル・エクラ(Hotel Éclat Beijing)は、稀にみるアートコレクションが溢れんばかりに展示されていて、アートファンには楽しくてたまらない。
ホテルはセントラルビジネスディストリクトのParkview Greenというコンプレックス内にある。ガラス張りの建物の周囲に個性的な彫刻が並んでいるので、すぐわかる。
ロビーに入ると、ゆっくり回転し続けるカラフルな仏像が目に入り、それをダリや曾梵志(Zeng Fanzhi)が無造作に囲む。そのバラエティ感とパワー溢れる作品群にちょっと引いてしまうかもしれないが、ここはとにかく、アート・ワールドへの入り口として突破すべし。
宿泊客だけがアクセスできる客室フロアは、壁という壁、そして客室を含むあらゆる空間に美術館レベルのアートが所せましと、しかし上手なキュレーションで展示されている。中国コンテンポラリーをテーマにしたフロアでは、張曉剛(Zhang Xiaogang)、岳敏君(Yue Minjun)など超有名どころの大型作品を含む、ユニークなコレクションが見られる。
ホテルのスタッフにツアーを依頼すれば、ホテル中のアートを詳しく説明してもらいながら鑑賞できる。作品によっては聞いて初めてわかるストーリーがあったり、ワンフロア廻るだけでもかなり見応えがあるので、是非、鑑賞のための時間をしっかり取っておきたい。
このホテルを作ったオーナーのGeorge Wong氏は、中国有数のアートコレクター。ダリのスペイン国外で最大のコレクションも持つ。サザビーズやクリスティーズのオークションカタログを見ては「これと、これと、これ」と印をつけ、アートの「大人買い」をする人だったそう。ある人が彼にアート蒐集の戦略を尋ねたところ、「そんなもん、無い!」と答えたとか。しかしそれを個人的趣味で終わらせることなく、アートが多くの人の目に触れる場所と機会を作ることに心を注いだ。残念ながらWong氏は昨年12月に急逝し、今はスタッフが彼のスピリットを継いで展示作品の選定をしている。
同じ建物内にある北京最大のショッピングモールは、さながらアートのテーマパーク。あちこちにあるアートを探して散策するのも楽しいし、写真を撮りながらショッピングしている人も多い。アートの周りに人々が集える場所を作りたかったWong氏の思いが実現している。
10階には企画展示をしている美術館があり、ここも入場無料。「Bridging Asia-Europe」と題したシリーズ企画は、アジアとヨーロッパの文化をつなごうというWong氏の思いを反映したもので、中国と中欧のアーティストのダイナミックなペインティングが展示されていた。この企画展は当初の予定では2017年12月10日までだったが、直前のWong氏の死を受けて延長されたものと思われる。
もう一つ特筆すべきは、空気。この建物には独自の空気清浄システムがあり、いつでもきれいな空気が吸える。ちょっと先の風景も霞むひどい大気汚染に悩む北京ではこれは大きな魅力で、いい空気を求めて週末に泊まりに来る地元の常連も多い。実際、わざわざ外に出ずとも、ホテルとモールのアートを鑑賞するだけでかなり満足度は高いので、きれいな空気を吸いながらホテル内で過ごすのも悪くない。
街に出ないことがむしろ贅沢に感じた北京滞在だった。
ホテルはセントラルビジネスディストリクトのParkview Greenというコンプレックス内にある。ガラス張りの建物の周囲に個性的な彫刻が並んでいるので、すぐわかる。
ロビーに入ると、ゆっくり回転し続けるカラフルな仏像が目に入り、それをダリや曾梵志(Zeng Fanzhi)が無造作に囲む。そのバラエティ感とパワー溢れる作品群にちょっと引いてしまうかもしれないが、ここはとにかく、アート・ワールドへの入り口として突破すべし。
宿泊客だけがアクセスできる客室フロアは、壁という壁、そして客室を含むあらゆる空間に美術館レベルのアートが所せましと、しかし上手なキュレーションで展示されている。中国コンテンポラリーをテーマにしたフロアでは、張曉剛(Zhang Xiaogang)、岳敏君(Yue Minjun)など超有名どころの大型作品を含む、ユニークなコレクションが見られる。
この中にオーナーのWong氏が描きこまれている |
自転車がテーマのフロアでは、フェンディ、グッチ、エルメスなどハイブランドの見たことがない自転車が。もちろん本物。宿泊客は実際にそれらを借りて乗ることもできる。(北京の町で上手に乗りこなせる自信があるなら。)
Gucciの自転車! |
ホテルのスタッフにツアーを依頼すれば、ホテル中のアートを詳しく説明してもらいながら鑑賞できる。作品によっては聞いて初めてわかるストーリーがあったり、ワンフロア廻るだけでもかなり見応えがあるので、是非、鑑賞のための時間をしっかり取っておきたい。
このホテルを作ったオーナーのGeorge Wong氏は、中国有数のアートコレクター。ダリのスペイン国外で最大のコレクションも持つ。サザビーズやクリスティーズのオークションカタログを見ては「これと、これと、これ」と印をつけ、アートの「大人買い」をする人だったそう。ある人が彼にアート蒐集の戦略を尋ねたところ、「そんなもん、無い!」と答えたとか。しかしそれを個人的趣味で終わらせることなく、アートが多くの人の目に触れる場所と機会を作ることに心を注いだ。残念ながらWong氏は昨年12月に急逝し、今はスタッフが彼のスピリットを継いで展示作品の選定をしている。
同じ建物内にある北京最大のショッピングモールは、さながらアートのテーマパーク。あちこちにあるアートを探して散策するのも楽しいし、写真を撮りながらショッピングしている人も多い。アートの周りに人々が集える場所を作りたかったWong氏の思いが実現している。
10階には企画展示をしている美術館があり、ここも入場無料。「Bridging Asia-Europe」と題したシリーズ企画は、アジアとヨーロッパの文化をつなごうというWong氏の思いを反映したもので、中国と中欧のアーティストのダイナミックなペインティングが展示されていた。この企画展は当初の予定では2017年12月10日までだったが、直前のWong氏の死を受けて延長されたものと思われる。
もう一つ特筆すべきは、空気。この建物には独自の空気清浄システムがあり、いつでもきれいな空気が吸える。ちょっと先の風景も霞むひどい大気汚染に悩む北京ではこれは大きな魅力で、いい空気を求めて週末に泊まりに来る地元の常連も多い。実際、わざわざ外に出ずとも、ホテルとモールのアートを鑑賞するだけでかなり満足度は高いので、きれいな空気を吸いながらホテル内で過ごすのも悪くない。
街に出ないことがむしろ贅沢に感じた北京滞在だった。