先日スペインに行った際、乗り継ぎで寄ったウィーンで少しだけ時間があったため、市内の美術史美術館(Kunsthistorisches Museum)へ。
マリア・テレジア広場には、ほぼ同じ造りの美術史美術館と自然史博物館が広場を挟んで向かい合って建つ。広場には朝から観光バスが横付けされ、美術館が開く前から外国からの観光客が大勢訪れている。その多くは美術館には入らず、広場と建物の写真を撮っただけで次へ向かうようだったが、帝国の威厳と優雅さを残す広場は、それだけでも十分価値がある。これほど圧倒的な外観を持つミュージアムがあるウィーン、うらやましい。
美術史美術館は歴代皇帝のコレクションを収蔵し、世界最大のブリューゲルの作品群のほか、フェルメール、ルーベンス、ラファエロ、カラヴァッジョなどなど、超一流のラインナップで知られる。
マーク・ロスコと言えば、赤や黒などの四角い色が画面いっぱいに塗られた大型の絵画で知られるが、この展覧会ではそうした作品以外にも、1930年代から40年代の初期の作品から、「シーグラム壁画」を経て、1970年に亡くなるまでの最晩年の作品までを時系列で展示している。
初期の自画像や人物画は、初めて見る機会を得た。
人物は皆、表情があるような、ないような感じで、ちょっとデフォルメされている。
「シーグラム壁画」は、ワシントンDCのナショナル・ギャラリーから7作品を展示。
色の組み合わせで成り立つロスコの絵は、「どの色の組み合わせが一番好きですか?」と問われる心理テストを連想させ、自分が惹かれた作品の色にどういう意味があるのかと、ふと考えてしまう。それもロスコの絵を見る楽しさの一つ。
30分間での鑑賞ではあったが、とても満足度が高い内容だった。しかし、当然ブリューゲルもルーベンスも今回はパスせざるを得ず、内部も非常に優美な建物なだけに、後ろ髪を引かれつつ後にした。
春の晴れた空の下、空港に戻る車の窓から眺めたウィーンの街の美しかったこと!次回は必ず時間を取って再訪しよう。