2012年12月9日日曜日

サンセバスチャンのバル

スペイン・バスク地方のサンセバスチャンにやって来た。食の街として最近日本でも注目が高まってきている場所。東京の行きつけのスペインバルのシェフに聞いたところ、もともと料理人の間では、スペインに行くなら絶対に外せないデスティネーションなのだそうだ。

ビルバオから1時間の小さな港街に、ミシュランの星を獲得したレストランや、世界的に評価が高いレストランが何軒もあることが世界中の観光客を惹きつけている一番の理由だが、この街がすごいのはハイエンドからカジュアルまで、一貫して食のレベルが高いこと。

サンセバスチャンの一番の楽しみは、何と言ってもバル巡り。
何十軒ものバルが並ぶ旧市街の土曜日は、昼の12時半を過ぎたころから活気づき、夜中まで続く。たまたま今日はバスク地方のカトリックの祝日で、新市街は商店の多くが休みで静かだったが、旧市街は関係なく、地元の人と観光客で大にぎわいだった。サンセバスチャンの天気は変わりやすく、晴れていたかと思えば急にスコールのような激しい雨が降ったりするが、バルは雨宿りにも便利。

どのバルもカウンターに様々なピンチョス(タパス)がずらりと並ぶ。スペイン語がわからなくても指差して注文すればいいので、とっても観光客フレンドリー。飲み物はチャコリが定番。微発砲の度数低めの白ワイン。ピンチョス一つと飲み物一杯だけで次の店に行っても全く問題ない。気軽さと価格はファストフード並みでも、料理としての質ははるかに高い。

数あるバルの中で、今回、個人的に最も気に入ったのはZERUKO。
開店から30分もすると立つ場所を確保するのも大変なほど混む、人気の店。そのピンチョスは花をあしらいまるでケーキのようなものや、一見して材料がわからない分子料理と呼ばれるものなど、とにかく華やかでクリエイティブで、見ているだけで楽しい。食べて初めて材料がわかるもの、食べてもわからないものなど、想像力にちょっとした刺激にもなる。五感、または六感で楽しむ食が、この手軽さで。

近未来の食のトレンドかもしれない。