今年もアートフェア東京が終わった。
毎年、何に出会えるか期待感でわくわくするイベントで、また、行かないと取り残されるような気がするイベントでもある。
雨だった木曜日午後のプレビューは、「買い物モード」で来ている真剣且つ場慣れしたコレクターと業界関係者が多く、テンション高めの空気。むしろ一般公開初日の金曜日のほうが、「鑑賞モード」の人が増え、より落ち着いてアートを楽しめた気がする。
今年はロビーギャラリーの入場無料の企画展示に大きくスペースを取っていた。31か国からの作品を展示したミニ・ビエンナーレ的展示や、注目アーティストの個展形式のブースなども楽しめた。
いつからか、汐留のパークホテル東京での「Art in Park Hotel Tokyo(AiPHT)」も同時開催されるようになり、二つのイベントをハシゴしてアート・ウィークエンドを満喫できるようになった。AiPHTのほうが小規模で新人の作品比率が高いが、気軽に買える金額の作品も多いので、購買意欲を上げる点でアートフェア東京との相乗効果は多少あると思う。
今回驚いたのは、2013年に2000円だったアートフェア東京の1 Day Passが、今年2019年は5000円になっていたこと。こんなにインフレ率が高いイベントって他にあるだろうか?もしそれでも入場者数に影響がないなら、日本でのアートの購買者層が確実に増えているということなのかと推測する。
会場でもらったフリーペーパーの調査によると、世界の美術品市場637億ドルのうち、シェアが突出しているのは米国(42%)、中国(21%)、英国(20%)の順で、日本は約3%らしい。一方、世界GDPのシェアは米国24%、中国15%、日本6%、英国3%。単純比較はできないが、欧米・中国と比べて日本は美術品に対する財布のひもが固いということは言えるだろう。アートの購入がより身近になり、増えていくことがアート産業にとって良いことなのは言うまでもない。しかし高額で購入するだけが全てでもなく、国としてバランスが取れたシェアがどの辺りなのかはわからない。
というようなことは日々気にせず、自分が好きな作品に出会う楽しみを求めて、またアートフェアに出かけよう。