リヨンビエンナーレは、ヴェネチアなどとともに「5大ビエンナーレ」の一つに数えられるとされている。今年は観光地からは少し離れた、家電メーカーのFagorの古い工場をメイン会場とし、規模を拡大した。展示はFagor会場の他、MAC(現代美術館)やいくつかの市内の会場にまたがる。
テーマは「水がほかの水と交わる場所(Where Water Comes Together with Other Water)」。世代、国、性別のバランスをとって選ばれた約50人のアーティストが参加している。
仏画を学んだタイのアーティストの作品。トンネル内の壁画。 |
私はメイン会場のFagorとMACしか見ておらず、全く個人的な感想でしかないが、いくつか目を引く作品はあったものの、あまり入っていけなかった。そもそもFagorのサイトは廃工場だったため、外壁、内壁ともに落書きがすごくて、すさんでる感じなのだ。そんなすさんでる場所で見るアートは、よほど美しいものでないとエネルギーを奪われる気がする。
体育館のようにだだっ広い会場に作品が展示されていて、「実験室?」と思うような感じでもあった。
アートの定義は人それぞれだし、何を美しいと思うかも個人の勝手だが、少なくとも人がアートと感じるためには、美しいか、面白いか、すごいか、どれかの要素が必要だと思っている。説明書きをどれだけ読んでも意図がよくわからず、直感的に響くものがなければ、その人にとってはアートではない。そしてそれは見る環境にも左右される。
箱の力で作品を底上げできるとも、そうするのがいいというのでもないが、わざわざ世界遺産都市のリヨンで開催する2年に1度のアートの祭典なのだから、会場の選定も含め、街のアイデンティティがポジティブな形で反映されているともっといいと思った。ひとりの観光客として。
ビエンナーレを見た後、リヨンの美しい旧市街を歩きに行った。