コロナ後、初めての海外はシンガポールへ。
事前にシンガポール入国情報や健康情報をオンラインで入力したり、ワクチン接種証明書をアップロードしたりと、色々やることは増えている。日本に帰国する前のPCR検査が直前で不要になったのにはだいぶホッとしたが、パスポート以外にスマホやアプリがないと海外旅行できない仕組みに変わったのは確か。でも2000年代に突然、液体はジッパー付きプラスチックバッグに入れないと機内持ち込み不可、という不便極まりないルールができたときさえ、皆ちゃんと対応したことを考えれば、今回の変化など軽く乗り越えられるに違いない。ちょっとした面倒など、旅の魅力には勝てないのだから。
さて、今回の滞在の主目的は商談会参加で、街歩きの時間は限られていたため、ナショナル・ギャラリー・シンガポールへ。前にも行ったことがあるが、建物の雰囲気がいい。
1920ー30年代に建てられたかつての最高裁判所と市庁舎の建物で、日本軍占領下では本部が置かれた歴史もある。それをリノベーションして2015年にナショナル・ギャラリー・シンガポールとしてオープン。クラシックな建物に、ガラスの天井や、木が伸びているような柱を組み合わせた現代的な空間になっている。
収蔵作品の中心は19世紀以降の東南アジアアートだが、無料で見られるスペースには今はアントニー・ゴームリーの作品が展示されている、というか倒れている。ゴームリーの顔がない人間の彫刻はたいてい、無関心を装いつつ注目されたい人というオーラを出していて、ちょっと笑える。
屋上庭園にもゴームリーの別の作品が。オープン以来、この屋上庭園の5つ目のコミッション作品。
旧裁判所側のウィングには、かつては屋根に隠れて見えなかった第二のドームが美しく姿を現している。
今回は行けなかったが、ナショナル・ギャラリー・シンガポール内にはカジュアルからファインダイニングまで、レストランも充実している。夕方から深夜まで営業しているバーがあるのも国立美術館らしくなくていい。
話は逸れるが、シンガポールでは現金を使う機会がほとんどない。MRT(地下鉄)もタッチ決済に対応した日本のクレジットカード(VisaかMaster)を「ピッ」と改札でかざすだけで通れる。これ便利!(実はこれを体験したいがためにMRTに乗ってみた。)旅行者もいちいち切符やプリペイドカードを買う必要がないのは画期的。さらに「SimplyGo」というアプリにそのクレジットカードを登録しておくと、乗車履歴と料金も表示される。クレジットカードでの乗車は日本でも福岡で実証実験をしていると聞いたので、どんどん普及してくれることを願う。
シンガポールの街中では半分くらいの人がマスクをしているが、活気は以前の通りのように見えた。夜景も健在。そして旅行のしやすさはどんどん進んでいる。