パリ8区、凱旋門の近くにあるル・ロイヤル・モンソー・ラッフルズ・パリ(Le Royal Monceau, Raffles Paris)は、5つ星ホテルの中でも最高級を意味する「パラス」の称号を与えられたホテルのひとつ。更にここにはラグジュアリーだけではないアイデンティティがある。それはアート。
特色は「アート・コンシェルジュ」の存在。宿泊ゲストにお勧めの展覧会やギャラリーの情報はもちろん、ホテル内のアートツアーも提供している。ここに宿泊するなら、是非このアートツアーを体験することをお勧めする。
2010年の改装時に内装を担当したフィリップ・スタルクは、鏡を多用してコンテンポラリーさを打ち出した館内に、大小様々なアート作品をちりばめた。それらはココ・シャネル、ピカソ、ジャン・コクトーといった面々とホテルとのつながりを語るものから、蚤の市で見つけてきた来歴が不明なものまで実に幅広く、パブリックスペースだけでなく客室内(バスルームも含めて)でも存在感を発揮する。
約1時間のアートツアーでは、聞かなければ気づかなかったであろう内装やアートのディテールや、ホテルの歴史的なエピソードを説明してくれる。例えば、普段だったら一瞬で通り過ぎてしまうであろうレストランの入り口の壁。アート・コンシェルジュに促されて近づいて見ると、小さな貝が敷き詰められた細工の美しさに気づく。ツアーで理解を深めた後は、ホテル内の色々な部分に目が行くようになり、ホテルで過ごす時間が一層面白くなる。
アート・コンシェルジュが常駐しているのはアート・ライブラリ。限定版のアートブックや、小さなアートオブジェの数々を販売しているお洒落なスペース。ここもストーリーにあふれたものが満載で、長居してしまいそう。
パブリックスペースのアートは定期的に展示替えされるので、行くたびに違う発見があるはず。パリではミュージアムだけではないアートの楽しみ方を。