2023年5月3日水曜日

ニコライ バーグマン 箱根ガーデンズ

ニコライ・バーグマンと言えば、色とりどりの花がぎっしり詰まった箱が真っ先に思い浮かぶ。もらう人もあげる人も嬉しくなるギフトだと常々思う。そのバーグマンが作った庭園が1年前に箱根にオープンした。そこはフラワーボックスの世界をそのままイメージして行くと少し意表を突かれる。いい意味で。


「ニコライ バーグマン 箱根ガーデンズ」は強羅の大自然の中にある。バーグマンが出会った広大な土地を買い取り、その自然を守りながら何年もかけて開発し、自らの世界観を表す場所として作り上げたという。


ここの主役はあくまでも強羅の大自然。庭園というより森と言ったほうが近い。園内にめぐらされた散策路は起伏に富んでおり、ちょっとした山歩き気分。箱根の自然の風景を一望できるパビリオンやビュースポットもいくつか設けられている。




花はフラワーボックスのようにぎっしりではなく、ところどころに差し色的に鉢で配置されている。箱根に自生している植物以外は地面には植えていないそうで、そうした鉢物は「モバイルガーデン」というコンセプトで季節に合わせて入れ替えられる。

屋内外の家具類は北欧のスケアラック、フリッツ・ハンセンとのコラボ。カフェでドリンクやフードをバスケットでテイクアウトし、お洒落なピクニックも楽しめる。

あちこちに配置された自然素材のアートオブジェも微笑ましい。なかには自然に溶け込みすぎて、気を付けていないと素通りしてしまいそうなのもあるので、よく目を凝らして。


フラワーボックスやグッズを売るショップが園内にないのを不思議に思ったが(あれば飛ぶように売れるはず)、あくまでもここはお買い物ではなく、箱根の自然を堪能してもらうことを意図して、あえてショップは設置していないのだと理解した。


生き物である以上、どんなフラワーアレンジメントも作った瞬間からしおれていくことは避けられない。バーグマンは自分が得たインスピレーションを永続的に残せる場としてこのガーデンを作ったという。もちろん自然も刻一刻と姿を変え、同じ状態で残るものではないけれど、四季折々の自然とバーグマンのデザインの共演を訪れた人がいつでも体感できる場所として具現化させたことは、素晴らしいアイディアだと思う。


今はオープンしているのは土地の一部に過ぎず、ひと回りするのにそれほど時間がかからないが、これからガーデンは更に拡大していく予定。箱根の自然とともに成長していくガーデンを見に、また訪れたいと思う。