「永遠の都」と呼ばれるローマ。
空港からホテルに向かう車から眺めているだけでも、古代遺跡らしきものが続々と目に入ってくる。歴史のスケールの違いに、即座に「参りました」と思う。こんな都市は1日や2日で見尽くせるものではない。
が、1日や2日しか時間がなかった私は、カラヴァッジョのある教会へ行くことに。
まずサン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会(San Luigi dei Francesi)へ。ローマ在住フランス人の国民教会とのことで、公式サイトもフランス語。
ここにはカラヴァッジョが1600年頃制作した「聖マタイ三部作」がある。誰でもフラッと入れる街中の教会に400年前の名作があるのが、またローマのすごいところ。日暮れ後でも見学者が途切れない。三部作は入口から見て一番左奥のコンタレッリ礼拝堂にあり、右から「聖マタイの召命」、「聖マタイと天使」、「聖マタイの殉教」と並ぶ。しかし残念ながら、3作のうち最も有名でバロック美術の先駆けともいわれる「聖マタイの召命」はメンテナンスのためかクローズ中。それでも「聖マタイと天使」は少し離れた正面から、「聖マタイの殉教」は斜め前から見ることができた。
その奥行き、ドラマティックさ、現実感は左右の絵とは比較にならない。聖母マリアが裸足であることなどから不敬だと言われ、カラヴァッジョは投獄されたそうだが、当時の人びとにとって、不敬かどうかより新しすぎる作風そのものに受けた衝撃がずっと大きかっただろうと思う。
見ているうちに照明が消えた。あ、そうか。「お布施」の1ユーロコインを入れると絵を照らす照明がつく仕組みだった。先に誰かがお布施を入れていたのだ。しかしキャッシュレス化が進み、海外旅行でも現金を全く使わずに済んでしまうこともある昨今、私は小銭を用意していなかった。もう少し見ていたかったけれどあきらめる。ここもバーコード決済導入してくれないかしら(それも世知辛いけど)。
バロックついでにもう一か所。ボッロミーニのサン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂(Chiesa di San Carlino alle Quattro Fontane)。ここは外観のみ見学。バロック建築の代表的作品と言われ、波打つようなファサードの曲線美が特徴。
それが街並みになじんでいるところも、またローマ。