ピカソの展覧会は常に世界のどこかで開催されていると思うが、国立新美術館で開催中の「ピカソ meets ポール・スミス」展は、どんなピカソ展よりカラフルでお洒落だった。
ポール・スミスが会場の装飾を手掛けるという、ちょっと意表をついた設定のこの展覧会は、パリ国立ピカソ美術館で2023年に開催された没後50周年記念展の巡回展。その時のタイトルは「Picasso in a New Light」。時系列に沿って時代ごと題材ごとに展示する美術展のオーソドックスな方法を遵守しつつ、スミス自身が当時のインタビューで語っていたように、「決して立ち止まることなく、革新的でクリエイティブで、常に実験をしていた男を、ありきたりではない方法で見せる」ことがテーマだった。
今回の東京での展示も確かにありきたりではない。目を奪うポップなビジュアルは、展示されたピカソの作品とその時代の特徴を直感的に解説する役割を果たしている。例えば、青の時代は青い部屋、闘牛は赤い部屋、コラージュは壁紙を張り合わせた部屋、といったように、すごくわかりやすい!
ピカソがファッション誌の写真に落書き(?)した作品は、部屋一面がVogueの表紙で埋め尽くされた「Vogue部屋」に展示されている。1950年代の最先端ファッションと、ピカソが手を加えて生まれたグロテスクさの融合が面白い。
全作品写真撮影OKの会場で最も人気だったのは「アルルカンに扮したパウロ」のコーナー。画中のパウロの衣装と同じブルーとイエローの柄の壁(と人だかり)は、遠くからでも目を引く。
16の部屋に分かれた会場を進むごとに違う風景が現れ、あっという間に最後の部屋。締めくくりは、生前に開催されたピカソの展覧会の膨大な数のポスターだった。まさに立ち止まることがなかった芸術家の70年間の驚異の軌跡。
この展覧会は二人のアーティストの時を超えたコラボレーションでもあり、ピカソへの愛に溢れたオマージュでもある。心地よい余韻ある展示だった。