2012年9月18日火曜日

デジタル化で得たもの、失ったもの

最近、昔撮った写真のネガをスキャンして、デジタルファイル化している。
昔といっても、15年ほど前からデジカメを使うようになる前までの間のもの。

写真は分厚いアルバムに張ってきちんと保管していたけれど、重いし、出してきて見ることなんて結局ほとんどなく、膨大な旅先の写真も眠っているだけだった。
でもデジタル化しておけば、ふと思い出したときにPC上で手軽に見られる。
当時一緒に旅行に行った友達にメールで送ってあげて、喜ばれたりもする。

スキャンした画質も意外といい。これは1997年10月にプラハで撮ったもの。

 
ネガを見ていて気付いたのは、昔のほうが、一枚一枚の写真を大切に撮っていたということ。
アナログのコンパクトカメラでは、夜景なんかはまともに撮れていないし、再現力という点では今のデジタル一眼レフには敵わない。
でも構図の取り方などは、昔のほうが丁寧だったかもしれない。

今はカメラがなんでもやってくれるので、普通の人でもかなり上手に写真が撮れる。
失敗すれば何度でも取り直せるし、とりあえず5枚撮っておいて、あとでいいのを1枚選ぼう、ということもよくある。だから無駄な写真の枚数も多い。

現像してみるまで出来がわからなかったアナログ時代は、とにかくその時点で「ベストショット」と思えるものを撮り、あとでわくわくしながら出来上がってきた写真を見た。「ボツ」写真の比率はその頃のほうが格段に低かった。

やや大げさに言えば、「本番」にかける緊張感があったのだと思う。

デジタル化はメリットのほうが多いと思っているし、逆行する気は全くないけれど、想い出に残したい風景を丁寧に切り取り、それをハードディスクではなく自分の記憶にとどめておく力は、アナログ時代の人間のほうが優れていたように思う。