ホノルル美術館(Honolulu Museum of Art)はワイキキの喧騒から少し外れたダウンタウンの近くにある。
1920年代にBertram Goodhueという建築家が中国と地中海の建築の要素を取り入れてデザインしたという建物は、そう聞けば納得する独特の雰囲気がある。ハワイのアートだけでなく、ヨーロッパ、アメリカ、アジアの幅広いコレクションを収める場所としても、一見、国籍不明なこの場所はふさわしく、中庭に差し込む明るい日差しがハワイらしさを保って気持ちのいい空間になっている。
ちょうど「Art Deco Hawaii」という企画展が始まったばかり。アールデコというと幾何学的でシンメトリーなデザインをイメージするが、ハワイのアールデコはもっと鮮やかで、自然で、ストーリ性に富んでいる。二つの大戦の間に生まれたデザインや装飾美術のムーブメントという点では西洋と同じだが、ハワイのアールデコは、商業的なコミッション制作だったにせよ結果としては、その自然や風土を美しく表現するだけでなく、19世紀末にアメリカに併合され消滅したハワイ王国の歴史を伝える手段としての役割も持っていたことがわかる。
20世紀のハワイアンアートのひとつの側面を紹介した興味深い展示だった。
*「Art Deco Hawaii」展は2015年1月11日まで開催中。