2014年11月9日日曜日

アートなクチュール 「エスプリ ディオール」展


銀座を歩いていたら、突然視界に入ってきた見慣れない黒っぽいビルに思わず足を止める。黒服のスタッフが立つ入り口に、人が次々に入っていく。

見上げると「エスプリ ディオール ディオールの世界」の看板。期間限定のディオールの展示。

吸いこまれるように入口をくぐった。




謎の黒いビルの中は、それはゴージャスで美しい空間!
4フロアにわたり、まさに「ディオールの世界」が展開されている。

アーティストたちと親交を深めた若き日のディオール、そして1947年に初のオートクチュールコレクションを発表してから今日までのメゾンの軌跡が、代表的なドレスやバッグ、映像や写真などで紡がれる。

1920年代、コクトーやダリ、サティなどと交流を持ち、現代音楽の作曲家たちとピアノの即興演奏に興じ、更には自身のアートギャラリーを開いてピカソ、ブラック、マティスなどの作品を世に紹介したという、若くしてすでに驚くべきパトロン的要素を持っていたディオール。

ディオール本人が亡き後も、アーティストとのコラボレーションは多い。

ウォーホルの「レディ・ディオール」
でも、何より目を見張るのは、ディオールの作品そのものが持つ芸術性。
女性の美しさを際立たせる完璧なフォルムのドレスは、それぞれの時代や流行を彷彿とさせるにも関わらず、普遍的な美とエレガンスで現代人の美意識に訴える。
デザインという言葉では表しきれない、見る者をうっとりさせる魔法のような力。これを見てディオールを着たいと思わない女性がいるだろうか?

観終わった人たちがちょっと背筋を伸ばして出ていくような、そんな刺激を受ける展示。



*「エスプリ ディオール ディオールの世界」は2015年1月4日まで開催中(入場無料)。