2015年5月9日土曜日

「Saint James Paris」展と「Le Fil Rouge」展

先日、表参道で二つの展示を見た。

ひとつはGyleで5/10まで開催中の「Saint James Paris」展。建築フォトグラファーのジミー・コールセン氏がパリの5つ星ホテルサン・ジェームス・パリを撮った写真展。写真集の発売に合わせたイベント。

2011年に改装されたホテルの内装を様々な角度から撮影した作品が並ぶ。奥行の先までくっきりと、左右対称に捉えられたロビーや大階段や、だまし絵の壁紙をバックにした室内の風景など、スーパーリアリズムの絵画のようにも見えてくる。

実際、すぐ後に入ってきた学生風の男性二人組は、「すげー、写真みたい。」、「写真だろ、これ。」、「違うよ、絵だよ、絶対!」と言い合っていた。(私は「写真!」と横から口を挟みたくなるのを我慢して通り過ぎた。)

プロジェクターで写真を大写しにした壁の前に立つと、自分の後姿の影がそこに重なり、ホテルの中に立ってその風景を眺めている自分の姿を見ているような気分になる。

ある意味、サン・ジェームズ・パリに実際に行った以上に、サン・ジェームズ・パリにいたような、そんな印象が残る展示。

もうひとつは、エスパス・ルイ・ヴィトンの「Le Fil Rouge」展。ホールの大部分は、世界の著名ギャラリーでも扱われているアーティストTatiana Trouvéの「250 Points Towards Infinity」という作品が占める。

それぞれ先端に鉛の重りがついた糸が何百本も天井からぶら下がっている、だけかと思えば、よく見るとそれぞれの先端が違う方向を指している。重力に逆らうように。
(実際は、それぞれの鉛が目に見えない磁石でポジションを保っているそう。)

これもまた、自分の立ち位置が一瞬揺らぐような、不思議な感覚を覚えた。


ちょっとリフレッシュした午後。