麹町で6月19日まで開催中の「空へ海へ彼方へ 旅するルイ・ヴィトン展 (Volez, Vogues, Voyagez - Louis Vuitton)」を見に行った。
会場はこのために作られた特設会場。正面からはわからないが、かなり奥行きがあり、ルイ・ヴィトンワールドが繰り広げらてている。
木箱製造職人としてスタートしたルイ・ヴィトンが1854年に自分の店を創業して以来、ルイ・ヴィトン社が手掛けてきた作品の数々が展示されている。各時代の旅のスタイルの変化と、それに応じた旅の道具を見るのは、ルイ・ヴィトン愛用者でなくても楽しめる。
そして、昔のヨーロッパ人たちは、旅の間もおしゃれに全く手を抜いていなかったことに感心!帽子、靴、ステッキなどを、用途に合わせてオーダーした専用トランクに詰めて持って行った。
時には「携帯用」洋服ダンスまで持って。
砂漠でお茶を飲むためのセットだって。過酷な環境下でも日常生活の快適さを可能な限り再現する努力。本当のグランピングは、この時代にあったのだ。
これらのトランクは旅行用に軽量に作られたとはいえ、現代の素材とは比べ物にならないくらい重いはず。こうした主人の膨大な旅支度を運ぶスタッフを含めると、旅の一行は結構な人数になったに違いない。
今でこそ、富裕層であっても自分で4輪キャスターが付いた軽量スーツ―ケースを転がして空港カウンターへ持ち込み、重量チェックを受けてチェックインするのは普通のこと。持っていけるものには限界があるが、現地で調達できるものも多いので、困ることは少ない。でも、長い道中を思いながら、重量オーバーを気にする必要もなく、お洒落道具や、自分にとっての必需品を詰め込む旅の準備作業は、今より楽しいものだったのかもしれない。そんな時代の旅の魅力にに思いを馳せた展示だった。