2020年9月23日水曜日

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展

 「上野」「美術館」「名作」「巨匠」「日本初公開」といったキーワードを見るだけで、反射的に「長蛇の列」「大混雑」という図式が頭に浮かぶ私は、上野で開催される大型美術展には興味を惹かれても「本場に見に行くからいいや」と避けることがあった。しかし、国立西洋美術館で現在開催中の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」は、本場で見るからと当分言えそうにない今、行くしかなかった。


「ゴッホ、フェルメール、ベラスケス、ターナー… 奇跡の初来日」と、大混雑要素満載なキャッチコピーに警戒して出かけたが、日時指定制を取ってくれたおかげでだいぶ快適に鑑賞できた。コロナ以降、多くの美術館が事前予約のシステムを採用したが、これは以前から早くそうなってほしいと思っていた。もちろん、その時の気分でふらっと行きたくなることもあるが、空きがあれば直前でもオンライン購入できれば問題ないし、逆に売り切れていればそれは混雑しているということだから、避けられるのもありがたい。

展示内容は、イタリア・ルネサンスから始まり、レンブラントやフェルメールを含む17世紀のオランダ絵画、イギリスの肖像画や風景画などを経て、印象派などフランスの近代美術まで時代を追って見せる。15世紀以降のヨーロッパの美術史の流れを紹介すると同時に、ナショナル・ギャラリーがそれらの作品を所蔵するに至った経緯にも触れた大変頭に入りやすい展示で、作品も一流のものばかりだった。作品選定と展示構成の力によるもので、ただナショナル・ギャラリーに行って作品を個別に見ただけではできなかったであろう発見も多かった。

第一、考えてみればロンドン・ナショナル・ギャラリーには去年の12月にも行ったのに、ダ・ヴィンチの企画展を見ただけで、それ以外のコレクションは全く見ずに帰ってきてしまった(何をしてるんだか)。

国立西洋美術館はこの展覧会が終わった後の10月19日から1年半休館して、前庭をル・コルビュジェが設計した当初の形に戻すらしい。それも楽しみ。

その頃の世の中は、どうなっているだろう。