川越は稀有な町だと思う。東京からそう離れていないのに戦争で空襲を逃れ、江戸時代の建物やお城の本丸が戦後もきれいに保存されてきたのは奇跡に近い。
雲一つない青空に映える蔵造りの街並み。時が止まったかのような完璧な佇まいに、誰もいなかったら異次元に迷い込んだような怖ささえ感じそうだった。が、平日の朝から観光客や遠足の小中学生が行き交っているのでその心配はない。それにしても高層ビルに囲まれることもなく、開けた空まで残っているのは素晴らしい。
川越城本丸御殿は東日本に唯一残る本丸御殿の遺構。築城は15世紀半ばで、今残っている本丸御殿は1848年に新たに建てられたもの。明治以降は工場になったり学校になったり様々な用途で使われ、1967年に大規模な修復が行われて公開された。派手さはなく実直な感じだが、威容がある。家老詰所にだけ人形があり、リアルによくできてる。
その他の川越の楽しみのひとつは食べ歩き。あちこちで名産のさつま芋を使ったお菓子や、醬油を塗った焼き団子などが売られている。今は歩きながらではなくお店の前で立ち止まって食べる人が多いけれど、「買い食い」の魅力は衰えない。