旧中仙道の宿場町、妻籠宿と馬籠宿は、外国人にも人気の木曽路を代表する観光地。二つ一組で語られることも多いが、妻籠宿は長野県、馬籠宿は2005年以降は岐阜県に属し、少しずつ個性が違う。
馬籠宿は木曽11宿の最南端。建物は明治と大正の大火の後再建され、昔のままの石畳と桝形も残っている。澄んだ流れの水路に水車が廻り、軒先に干し柿が下がる様が絵になる。通りの端から端まで歩いても10分くらいの距離。でも坂道続きの石畳は健脚な人向けかもしれない。
馬籠宿から妻籠宿まではバスもあるが、ハイキングルートとしても人気。約9キロメートルの道のりを2時間半から3時間で歩ける。途中「男滝・女滝」という二つの滝がある。幅が広く勢いがあるほうが男滝。昔、行水に使われた滝が男女別に分かれていたのでこう呼ばれているそう。
次に妻籠宿。寺下地区のオーセンティックな町並みが素晴らしい! 向うから馬でも歩いてきそうな雰囲気で、江戸時代ってこういう感じだったんだろうなと想像させる。町並み保存運動の先駆けとなった妻籠には当時の建物が残っていて、今でも住民の方々が「売らない、貸さない、こわさない」の3原則を守っている。店先に看板を出さないルールもあるそう。道は高低差がなく、のんびり散策できる。特に日中、車が入れない時間帯がいい。
ところで馬籠と妻籠では「栗きんとん」をよく見かける。お正月に食べるあの黄色い栗きんとん?と思ったら、この辺の栗きんとんは栗のペーストを絞り出した自然な甘みを生かしたお菓子。あちこちで買えるので散策のおやつに。
宿場町は夕暮れ時も美しいと聞く。昔の旅人たちが通ったままの町並みが、この先も受け継がれていきますように。