2026年9月18日金曜日

ソウルの最新アートスポット ポンピドゥー・センター・ハンファ

2026年6月にソウル・汝矣(ヨイド)島にオープンした「Centre Pompidou Hanwha」へ。パリのポンピドゥー・センターと韓国企業ハンファのパートナーシップによる最新の美術館。


漢川の中州の汝矣島は政治経済の中心地。ランドマークは63ビルという高層ビルで、美術館はその低層部にある。

建物はフランス人建築家のジャン=ミシェル・ヴィルモットのデザイン。「光に満ちた美術館」と紹介されている通り、曲線的なガラスのファサードから自然光が屋内に透けて入り、優しい明るさが心地よい。


10月4日までオープニング企画展「The Cubists:  Inventing Modern Vision」を開催している。現在休館中のパリ本館のコレクションから厳選した作品を展示し、キュビスムの1907年から1927年までの20年間を時系列で追う。それに加えてキュビスムが韓国アートに与えた影響を振り返るソウルならではの展示もある。

ピカソとブラックの二人がキュビスムを誕生させ、それにパリのアーティストたちが続いてブームになり、やがてフランス国外にも拡がって発展するが、第一次大戦で断絶。戦後にはアーティストたちがそれぞれの方向性を模索する中、キュビスムは様式として継承され、実験の時代が終わる、といった流れが、二つの広い展示室をフルに使い8つのセクションで紹介されている。ピカソ、ブラック、グリス、レジェ、ローランサン、ル・コルビュジェなどなど、時代を代表するアーティストたちの作品が贅沢に並ぶのはさすがポンピドゥー。


展示は緩やかな曲線に沿って、次のセクションも視界に入るオープンな構成で進む。行った日はたまたま「Culture Day」という入場料半額の水曜日だったので普段より来場者は多かったかもしれないが、スペースが広いので混み合うことはなく、皆それぞれのペースで鑑賞していた。こういう会場は、好きな作品にもう一度近づいてみたり、じっくり解説を読んだりしやすく、滞在時間が長くなる。



特別セクション「Korean Focus」は第2展示室のメザニン部分(3階)にある。韓国が日本統治下にあった1930年代、海外のリアルタイムな情報が極めて限られていた中、芸術家を目指す韓国の若者たちは日本留学を通じてキュビスムを含む西洋の前衛美術に触れ、それが文学や舞台芸術、そして韓国の現代美術の基礎に大きく影響したこと、そして朝鮮戦争後にキュビスムは韓国独自の表現で開花したことなどが紹介されていた。



美術館2階には庭園に面した明るいカフェもある。

ビルに囲まれてひっそりとある庭園は美術館の外からアクセスでき、入場無料。韓国人アーティスト3名の彫刻作品が展示されていた。


観光地から離れているのも一つの魅力。居心地のいい美術館だった。