2015年6月12日金曜日

郭庄で朝のお茶

「杭州でお茶をするなら、とてもいい雰囲気の庭園がある」と、中国人の知人に勧められた「郭庄(Guo's Villa)」へ。


西湖のほとりにある郭庄は、清時代に絹の豪商が建て、その後、郭氏の手に渡り別荘として使われた。伝統的な中国庭園と、その庭園や西湖を鑑賞できるよう建物が配置されている。

開園は朝8時。蘇堤からぐるっと廻りこんだ反対側に入り口があり、あまり目立たない。10元の入場料を払って入る。観光客はまだ誰もいない。

空を映す鏡に見立てられた池を回廊が囲む。庭園もさることながら、建物の名前がいちいち風流なのに感心する。「風に乗り、月を招く」とか、「春の風に沐浴する如し」とか。
当時の主と客人が、それぞれの場所でどんな風景と空気を楽しんでいたのかが容易にイメージできる。


「両宜軒」で龍井茶を頼むと、コップに茶葉を直接入れた上に、お湯を注いでくれた。

これ、どうやったら上手に飲めるのか、いつもわからない。

地元のお年寄りの男女4人が、隅のテーブルでのんびりマージャンを始めていた。

しばし静かにお茶を飲み、入口とは反対側の「曲院風荷」につながる出口から出ると、こちらはもう多くの観光客や地元の人たちが散策していた。郭庄だけが隔離された静寂の空間だったかのように。

郭庄はただ見に行くのでなく、ゆっくりお茶を飲み、当時の風情に思いを馳せるのがいい。

2015年6月9日火曜日

印象西湖

上海の帰りに、杭州に寄った。
上海虹橋駅から杭州東駅までは高速鉄道で1時間弱。最高速度300kmのスムースな旅。

杭州と言えば、風光明媚な西湖が良く知られ、古くから絵画や詩のモチーフにされてきた。白堤、蘇堤は徒歩やレンタサイクルで散策する観光客で賑わう。


今回の旅の目的は、その西湖で毎夜繰り広げられる「印象西湖(Impression West Lake)」を見ること。映画監督のチャン・イーモウの演出によるこのショーは、光と大掛かりな仕掛けを使い、夜の西湖の風景を一変させる。

大勢の出演者たちが湖上に浮かんでいるかのように登場し、傘や羽を手に、時に水しぶきを上げながら踊る姿と色が水面に映って増幅され、暗闇の中で、そこだけが幻想的な世界を作り出す。

ストーリーは一応、あるのだが、それを追う必要はなく、ただ視覚的な世界を楽しむ1時間。
(上演中の写真撮影は禁止なので、終了後に撮影。)
外国人だけでなく中国の人にも大人気で、バスツアーでたくさんの人が見に来ていた。でも皆、何の余韻もなく、映画でいうならエンドロールが始まる直前くらいでさっさと席を立つのに、やや驚く。

このショーは毎晩上演されているが、観客席も含めて日中はどこかに片づけられていて景観を損なうことはなく、夕方になると準備が始まる。その毎日の努力もすごい、と思う。
照明準備中

杭州に行くなら是非一度は見る価値がある世界。





2015年6月6日土曜日

上海のパーティ最新トレンド?

先週、上海の複数のホテルでのパーティに出席。

以前からよく見られるのは、20世紀初めの租界のデカダントな雰囲気を再現しようとする踊り子さんたち(ダンサーというより、この表現がよく合う)。ステージではなく、人が談笑している横で無表情で踊り続けるのが、ちょっと怖い。


それに加えて今年現れたのは、こういうスーパートールな人たち。


3mくらいあるお姉さんたちが、人々にシャンパンを注いで廻る。こういうの、ほかの都市では見たことなくて、ちょっと笑ってしまう。ちなみにこれはShangri-Laのパーティ。

その翌日、Langhamのパーティで仲間に遭遇!この人もシャンパンを注いでいた。

たまたま同じ業者?それともトレンド?


上海自然博物館

仕事で上海に行ってきた。

到着後、すぐに目指したのは上海自然博物館(Shanghai Natural History Museum。中国語表記では「史」が抜けている)。特に自然史に興味があったわけではなく、見たかったのはその建物。

上海彫塑公園の中にあるこの博物館は、今年4月下旬に展示スペースを以前の20倍にし、華麗なるリニューアルオープンを遂げた。国際的に展開する設計事務所Perkins+Willが手掛けた建物は、明るい館内を予想させる直線的なガラスのファサードと、葉脈のような模様の湾曲した壁面が目につく。


さて、建物にしか興味がなかった私が予想もしていなかったことは、チケット売り場の大行列!3、4時間は待つかも?平日午後になぜこんなに多くの家族連れが?と驚くほど、新しい博物館は大人気スポットだったのだ。

4時間も待ってる余裕のない私は、どうしたものかと美術館の前でしばし思案していた。外だけ見て帰ろうかな・・・。

すると、チケットあるよー、とピラピラさせながら声をかけてくる人たちがいる。なんと、自然史博物館にダフ屋が!最初は無視していたが、待てよ、と思い直し、ベテランそうなおじちゃんに声をかけられた時に「いくら?」と聞くと、「100元」とのこと。日本円で約2000円。定価は30元だから3倍以上だが、4時間待ちを突破できるファストトラックチケットとしては悪くない。いちおう周りの他の同業者3人くらいに裏を取ると、一律で100元。どうやら私だけがぼったくられてるわけではない(そもそもぼったくられてるんだけど)。私は生まれて初めてダフ屋というサービスを利用することにし、最初のベテランのおじちゃんからチケットを入手して中に入った。

建物の中は、大きな吹き抜けのロビーと、中庭を囲み葉脈に覆われたガラスの壁面、そして天井の明かり取りの窓が全体に優しい自然光を行き渡らせ、大きな恐竜の骨格の模型がのびのびと体を伸ばしている(ように見える)。

展示物も迫力!写真ではわからないが、白熊の後ろの恐竜の長い首はリアルに動いていて、最新技術も駆使。

どことなく化石を思わせる中庭もなかなか素敵だが、残念ながら締め切ってあり出られなかった。館内の大混雑ぶりを見れば、事故防止(および中庭の景観維持)のためには仕方ないかも。

この建物は、人が少ない静かな環境でじっくり散策できたら、きっととても気持ちがいい。もう少しブームが過ぎたらまた行こう。