西湖のほとりにある郭庄は、清時代に絹の豪商が建て、その後、郭氏の手に渡り別荘として使われた。伝統的な中国庭園と、その庭園や西湖を鑑賞できるよう建物が配置されている。
開園は朝8時。蘇堤からぐるっと廻りこんだ反対側に入り口があり、あまり目立たない。10元の入場料を払って入る。観光客はまだ誰もいない。
空を映す鏡に見立てられた池を回廊が囲む。庭園もさることながら、建物の名前がいちいち風流なのに感心する。「風に乗り、月を招く」とか、「春の風に沐浴する如し」とか。
当時の主と客人が、それぞれの場所でどんな風景と空気を楽しんでいたのかが容易にイメージできる。
「両宜軒」で龍井茶を頼むと、コップに茶葉を直接入れた上に、お湯を注いでくれた。
これ、どうやったら上手に飲めるのか、いつもわからない。
地元のお年寄りの男女4人が、隅のテーブルでのんびりマージャンを始めていた。
しばし静かにお茶を飲み、入口とは反対側の「曲院風荷」につながる出口から出ると、こちらはもう多くの観光客や地元の人たちが散策していた。郭庄だけが隔離された静寂の空間だったかのように。
郭庄はただ見に行くのでなく、ゆっくりお茶を飲み、当時の風情に思いを馳せるのがいい。