春先のニュージーランド。今回の旅の目的は、南島の最北部のマールボロ・サウンズ(Marlborough Sounds)にある、Bay of Many Covesでの滞在。サウンズは海峡や入江と訳される。ここマールボロ・サウンズは、日本でいうリアス式海岸のような複雑な地形で、その海岸線の長さの合計は実にニュージーランドの海岸線の総距離の5分の1を占める。
Bay of Many Covesは、マールボロ・サウンズを構成するQueen Charlotte Soundのいくつもの湾のひとつで、湾の名前がそのままリゾートの名前になっている。アクセスはいくつかのルートがあるが、最後は海か空からでないとたどり着けない。今回は、東京からオークランド経由でブレナムまで飛び、空港から車で25分くらいのピクトンという港から、ウォータータクシーで更に約30分。オークランドからの国内線が少し遅れたこともあって、乗り継ぎ時間も含め20時間近くの長旅。前日まで吹き荒れていたという嵐はすっかりおさまり、穏やかな空が迎えてくれた。
これだけ時間をかけて行くからには、一つのリゾートにじっくり滞在し、その土地ならではのアクティビティも満喫したいので、事前にいくつかアレンジしてもらっていた。
その一つがフィッシング。少人数でも小さな船を3時間からチャーターでき、初心者から上級者までが楽しめる。
5代前から地元に住むガイドのマークさんの案内で出発。目当てはこのあたりで有名なブルーコッドという魚。9月1日から12月19日までは、サウンズ内での釣りは禁止されているため、30分くらい船を走らせて外海に出て、北島を近くに臨む場所に船を停めた。
5代前から地元に住むガイドのマークさんの案内で出発。目当てはこのあたりで有名なブルーコッドという魚。9月1日から12月19日までは、サウンズ内での釣りは禁止されているため、30分くらい船を走らせて外海に出て、北島を近くに臨む場所に船を停めた。
私は生まれて初めの釣りで、釣竿の持ち方も全く知らなかったが、マークさんにリールの基本的な扱い方を教わり、エサも針につけてもらい、言われた通りに、重りのついた糸をチャポンと海に落とした。ほとんど自力でやってないが、それでもいきなり釣れるわけないし、まあ、気長に待とう・・・
・・・いきなり釣れた(どうしよう)。それも、2匹続けてブルーコッド!
このエリアでのブルーコッドの捕獲はひとり3匹まで、体長は30㎝から35㎝の魚のみと決まっている。釣れたブルーコッドは物差しで測り、当てはまらなければすぐにリリースする。ブルーコッドが30㎝に成長するには15年くらいかかるので、それに満たない子供と、繁殖力のある大型の成魚は海に帰すルール。
私が釣ったのは33㎝くらいの「大物」で、その日釣れた最大のブルーコッド。ビギナーズラックは、ギャンブルに限らない。
私が釣ったのは33㎝くらいの「大物」で、その日釣れた最大のブルーコッド。ビギナーズラックは、ギャンブルに限らない。
テラキヒ |
マークさんは大型のテラキヒという、やはり人気のローカルフィッシュを釣り上げていた。
次は帆立を採りに移動。どうやって採るのかと思って見ていると、マークさんは潮干狩りで使う熊手を大きくしたような金具がついた網を海に投げ入れた。それを船でしばらく引きずってから船に上げると、ほんとに帆立がごろごろ入ってる。海底にある帆立を熊手が掻き出して網に入れていく、シンプルでとても効果的な漁法。すごい。
その採りたての帆立を殻から出してもらい、船の上で食べたときの感動といったら!海水の自然の塩分がちょうどよく、これまでに食べたどんな生帆立より美味しく感じた。
他の魚も、マークさんが上手に三枚におろしてくれたものを持ち帰り、リゾートのレストランで調理してもらった。
Bay of Many Covesのドイツ人シェフ、ハナスさんの手で美しく調理されたブルーコッドとテラキヒ。地元産のソーヴィニヨンブランにぴったり。
これこそ、釣りの贅沢な締めくくり。