マールボロ・サウンズでは年間を通じてイルカが見られる。マールボロ・サウンズを構成するここクイーン・シャーロット・サウンドでは、コモン・ドルフィン、ヘクターズ・ドルフィン、ダスキー・ドルフィンの3種類がよく目撃されるそうだ。人気のドルフィン・ウォッチツアーでは、冬以外はイルカと一緒に泳ぐ「ドルフィン・スイム」も選べる。まだ春先で水は冷たいけど、私もウェットスーツを借りて参加した。
もともとサウンズ内の海は湖のように穏やかだが、その日は更に風一つなく、海面が鏡のように静かな絶好のイルカ探し日和。リトルペンギンというその名の通りの小さなペンギンが、水面から頭だけ出して泳いでいく姿も見えた。船は静かに進みながらピクトンの港の近くでイルカを待っていると、やがて小型のダスキー・ドルフィンの一団を発見!慣れた船長さんはイルカの進む方向を予測して回り込み、船を止めた。
イルカたちは好奇心が旺盛で、水に入った私の周りに寄ってきた。サウンズ内の海の水は、きれいだが透明度は高くない。ハワイのように透明度が高い海でのドルフィン・スイムは、自分の5m下をすり抜けて泳いでいくスピナー・ドルフィンたちを目視し追いかけていく感じだが、ここの水はそういうのには向かない。それに、ここでのドルフィン・スイムはフィンを使わない。フィンで水しぶきが上がると、イルカたちは追い払われていると思い遠ざかって行ってしまうのだそうだ。私もシュノーケリングはかなり馴れているほうだが、さすがにフィン無しでイルカを追いかけるなんて、無理に決まってる。そういう事情を知ってか知らずか、ダスキー・ドルフィンたちはほんの1mくらいの距離にまで近づいてきてくれた。なんてわかってるんだろう!感心、そして感謝。
イルカたちと別れた後は、アザラシも発見。滞在中は見ることがなかったが、時々オルカも出るらしい。野生の生き物たちが豊富なサウンズの海の自然は、ツアー運営会社も含め、地域の人々の高い意識によって守られている。