2015年12月13日日曜日

リーウム美術館 

行きたかったリーウム美術館(The Leeum, Samsung Museum of Art) を見に、ソウルへ。


サムソンの膨大なアートコレクションを擁するこの美術館は、梨泰院の近くの大通りから少し入った静かで洗練されたエリアにある。

リーウムを構成する3つの建物はそれぞれ著名な建築家が手掛けている。上の写真のアニッシュ・カプーアの彫刻を囲む建物のうち、スイス人マリオ・ボッタによるテラコッタの城風のMuseum 1(写真真ん中)は、陶磁器を中心とした韓国の伝統美術を展示。

フランス人ジャン・ヌーヴェルによるMuseum 2(写真右)は韓国と海外の現代アートを展示。建物にはガラスと錆びたステンレススチールを使用している。錆びないはずのステンレスが錆びているという、存在そのものがパラドックスな素材が、様々に解釈される現代アートの作品群を包んでいるのが面白い。

そしてオランダ人レム・コールハースによる児童教育・文化センター(写真左)は企画展用のスペース。主張せず、建物を有機的につなぐ線としての存在を念頭にデザインされたらしい。

館内では、デジタルガイドを借りて廻る。これが、さすがサムソン、なかなか秀逸なガジェットだった。スマホくらいの大きさの端末を持ち、イヤホンを耳にかけてて作品に近づくと、自動的にその作品の説明が始まる。そして音声だけでなく、作品の写真と文字による説明も画面で確認でき、気になる作品はあとでリストから選んで聞き直す(or 読み直す)こともできる。音声ガイドにペースが合わないときも、これなら必要な情報を得やすい。


この美術館ならではのみどころはやはり、Museum 2の現代アート。日本ではあまり見る機会が多くない、戦後の韓国人アーティストたちの作品を、同時代の欧米のアーティストの作品と共に、共通したテーマの下に見ることができる。

全ての建物をじっくり見るなら、最低3時間はかけたい。



おまけとして、リーウムで入場料を払うと、分館のプラトー(Plateau)に入れるチケットもくれる。

市庁の近くにあるプラトーは、元はロダン・ギャラリーと呼ばれていて、今でも1階のスペースにロダンの地獄門がある。その手前にあるのは、韓国の女性アーティストのMinouk Limの企画展示。この新旧のコンビネーションは結構、絵になっていた。