2013年3月8日金曜日

バルセロナで思う都市の街並み

18年ぶりくらいにバルセロナに来た。
ここまで久しぶりだと、やはり王道の観光名所も外せない気がして、サグラダ・ファミリアに行ってみたところ、朝11時ですでに驚愕的な長蛇の列。甘かった。入場するのに軽く2時間はかかりそうだったので、さっさとあきらめて外観だけ見ることに。18年前とどこが違うか、わかるわけないが、明らかに工事進行中な感じの覆いが被さっていても許される観光名所は、世界でもここだけだろう。進行形であるがゆえの生き物のような躍動感がこれだけ多くの人を惹きつけるのかもしれない。

グラシア通りに戻り、カタルーニャ広場に向かって南へ歩いてみる。2つの分離帯を挟んで8車線ある大通りで、両側には高級ブランドショップが並び、まさに目抜き通りと呼ぶに相応しい。
 
前回来た時は多分、点でしか街を見ていなかったので覚えていなかったのだが、改めて、建築がとても美しい街だと思う。ガウディのカサ・バトリョやラ・ペドレラ(カサ・ミラ)の曲線的なフォルムでさえ、異質なものとして排除せず、また、それらだけが極端に目立つこともなく、昔からある建物も現代建築も、それぞれが個性を持ちながら調和している。


ずっと東京に住んでいて思うのだが、東京には、ここ、という「目抜き通り」がない。大通りや繁華街やショッピングストリートはたくさんあるけれど、ほお、とため息をついて見とれてしまうような美を全体で創り上げている通りは、残念ながら見つからない。

思うに、街並みにおける美意識は、それが高いレベルであるほど伝播する。景観条例のようなもので規制するしないに関わらず、ここに相応しいものを建てなくてはという自発的な調和と競争が、美しい街並みを生むのだろう。

歩いていて自然と心が高揚する街は、きっとそういう美意識が存在している。